「ブランディング」とは何か|おすすめ10冊から読み解くブランドの本質

ブランディング本おすすめ10選 セレクション
ブランディング本おすすめ10選

昨今のビジネスにおいてブランディングは、ますます重要な役割を担っています。大量生産大量消費の価格戦争、技術力による製品品質の競争。これらを乗り越え、あらゆるものが高い水準で安価に手に入るようになりました。

目の肥えた顧客は、価格や品質でサービスを選択する時代ではなくなってきているのです。顧客は、体験価値やブランドにお金を払うのです。

スターバックスのコーヒーと、マクドナルドのコーヒーと、コンビニのコーヒー。美味しさにどのくらいの差があるのかを分かる人はどのくらいいるのでしょうか。人はそれぞれのシチュエーションによってモノを選択し、オフィスでは手軽に手に入り持ち帰れるコンビニコーヒーを選び、第三の場所を提供することを理念にしているスターバックスの店内で読書や勉強をしようという雰囲気に浸りたいときはスターバックスを選び心を落ち着ける。

ブランドに紐づく自己実現の価値が選ばれる時代であり、ブランディングこそが経営戦略と言えるでしょう。

私は企業でブランディング業務に携わっており、そのなかで自分自身が振り返りに使ったり、新しいメンバーに薦めているブランド関連本をご紹介します。

参考にしたブランド関連書籍

理解度が早く進むだろうという本を並べてみました。最初の2冊がとっかかりとしてお薦めです。

【1】選ばれ続ける必然 誰でもできる「ブランディング」のはじめ方

★初心者にオススメ★

ブランド推進する現場の人は、ほぼこれを読めば大丈夫。ブランドリサーチからブランドの言語化、その浸透(ブランディング)までが、見事なまでに、わかりやすくまとめられています。何も知らない人でもどんどん読み進められます。

選ばれ続ける必然 誰でもできる「ブランディング」のはじめ方

選ばれ続ける必然 誰でもできる「ブランディング」のはじめ方

著者:佐藤圭一
出版社:講談社
発売日:2016/8/19

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【2】ブランディング

★イチオシ★

ブランド推進する現場の人が、もう少し視座が高くなる本。ブランディングと経営戦略が密接な関係性にあることがわかります。特に注目したいのはブランディングのKPIです。ブランド推進する関係者にとって、「それやってる意味あるの?」という言葉ほど傷つく言葉はありません。それを明確にするために、社内指標と社外指標に分け、さらに細分化した項目の納得性が高いです。

別記事(『ブランディング』)でレビューと要約もしているのでご参考ください!

ブランディング ビジネスの高収益を実現する極意

ブランディング ビジネスの高収益を実現する極意

著者:中村正道
出版社:日本経済新聞出版
発売日:2019/12/14

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【3】ブランド戦略論

マネージャーは読んでおいたほうがよい本。ブランドに関する研究からの引用が多くあり、著者の主観ではなく根拠を提示してブランドが体系化されています。ブランドの定義があいまいという問題提起から、ブランドの歴史、ブランドを経営戦略と位置づけグローバル戦略まで幅広く網羅して論じられている。ぶ厚すぎて怯みますが、いざ読んでみるとすらすら読めます。

ブランド戦略論

ブランド戦略論

著者:田中洋
出版社:有斐閣
発売日:2017/12/13

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【4】デザインノート佐藤可士和

理論からもう一歩進んで、クリエイティブを創造する人たちの考え方が理解できる。トップランナーたちは表層的なところではなく、ブランドのビジョンやバリューといったコアな部分から入り込んで考え抜かれていることがよくわかります。

今までロゴマーク制作の価格に何が違うのか、ネームバリューじゃないか、という自分の浅はかな思考を是正してくれました。サービスのロゴとか格安で作れるサービスがありますが、あれはその納品物一つでしか完結しえないものなので、そういう価格になるわけですよね。(ディスってるわけではなく、ブランドがまだ確立できていなかったり、予算がない時期であれば、それは仕方がない選択だと思う)

デザインノートpremium佐藤可士和

デザインノート premium 佐藤可士和

著者:デザインノート編集部
出版社:誠文堂新光社
発売日:2020/10/26

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【5】ブランド戦略シナリオ―コンテクスト・ブランディング

事業責任者は読んでおいたほうがよい本。ブランドを「文脈」のなかで必要とされる存在にしようというもの。文字が多いので時間がかかるかとおもいますが、頭に入れておきたい一冊です。

ブランド戦略シナリオ コンテキストブランディング

ブランド戦略シナリオ コンテキスト・ブランディング

著者:阿久津 聡,石田 茂
出版社:ダイヤモンド社
発売日:2002/7/1

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【6】コトラーのB2Bブランドマネジメント

ここにきて、もう一冊、濃い本。かなり読みにくい本ではありますが、ブランディングがBtoCだけのものではないというのはこれまでの本からも学べますが、では具体的にBtoBではどのようなブランディングを試みることができるのかがまとめられています。

コトラーのB2Bブランドマネジメント

コトラーのB2Bブランドマネジメント

著者:フィリップ・コトラー
出版社:白桃書房
発売日:2020/9/16

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【7】実務家ブランド論

ダイキン工業でブランド担当として20数年勤続された片山さんの本。世の中で華々しく語られるブランディングの事例は、個別企業に落とし込もうとしても実はうまくいかない…。実務的な目線でまとめられたブランドの教科書と言える一冊です。

実務家ブランド論

実務家ブランド論

著者:片山義丈
出版社:宣伝会議
発売日:2021/9/14

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【8】ブランディング・ファースト――広告費をかける前に「ブランド」をつくる

ここまでくると、もうわかった気になっていますので、流して読めます。こちらの本は2020年4月発売の本なので、最新の情報が入っているのかもしれませんが、もはや先に述べたこの本以前に発売されている本でブランドの真理が見えてますので、陳腐化して見えてしまいます。初心者向けではありますが、『選ばれ続ける必然』のほうを推奨します。

ブランディング・ファースト

ブランディング・ファースト――広告費をかける前に「ブランド」をつくる

著者:宮村 岳志
出版社:クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
発売日:2020/4/24

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【9】パワーブランドの本質

個別のブランドの事例が掲載されている本です。知識として持っていてもいいかなというもの。この本単体でもブランディングについて学べます。1999年刊行という少しだけ時代が古い感じがありますが、あげられている事例が濃く、違和感なく吸収できます。ただし若い人には向かないかもしれません。

パワーブランドの本質

パワー・ブランドの本質

著者:片平秀貴
出版社:ダイヤモンド社
発売日:1999/7/1

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【10】ブランディングの教科書: ブランド戦略の理論と実践がこれ一冊でわかる

表紙にある通り、理論と実務がバランスよく、まとめられている本です。著者はブランド担当者なら一度は訪れたことがあるのではないか?というWEBサイト「Mssion Driven Brand」を運営する羽田康祐さんです。他の本と比較しても読みやすい部類に入り、まずは手に取ってみるというのもありかと思います。

ブランディングの教科書

ブランディングの教科書

著者:羽田康祐
出版社:NextPublishing Authors Press
発売日:2020/8/1

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ほとんどの本で書かれている「7つ」の大事なこと

10冊の本を読み、あとは実践にはいっていけば、「ブランドとは何か」「ブランディングとは何か」が掴めてくるはずです。ほとんどの本に書かれている要点をざっとまとめておきます。

【1】ブランドの認識は人によって異なる

ブランドの専門家の間でもっともホットな議論の1つがブランドとは何かについて見解が一致していないことである

『ブランド戦略論』p5

もしあなたの組織のなかで、「ブランド管理」「ブランド戦略」を管掌する部署があるとしたら、あなたはその部署がどんなミッションを持っているか想像ができるでしょうか?

商標の登録や侵害のリスクなどを管理するような知財部門、メディアを通して会社や商品の認知活動を行う広報部門、製品のアイデンティティを確立して他社製品と差別化するマーケティング、展示会出展、イベントスポンサー、ノベルティ管理、問い合わせ対応、といった具体的なものが思い浮かぶかもしれません。よく考えると何だかよくわからない…と混乱する人もいるかもしれません。「ブランディング」と「ブランド」を混同している人もいるでしょう。

いずれにせよ、ブランドについての統一された定義はないというのが定説です。各書籍を見ると「~という認知システム」であったり「~という資産」など様々です。なので、ブランドについて語るときは、「ここではこう定義する」という前置きが必須な状態です。

【2】ブランドは顧客の選択を容易にする

ブランドについての統一した定義はないものの、ブランドの効果はおおよそ統一されています。

ブランドは、その製品やサービスが何たるかを定義し、競合との差別化を図ることができるのです。差別化の結果、顧客は製品やサービスについて、自ら調べることなく、そのブランドがもたらしてくれる価値を容易に認識することができます。

さらに、ブランドは価格プレミアムという価値をもたらし、ブランドを提供する者に、利益をもたらすことができます。

【3】BtoCもBtoBも関係ない

ブランドの効果は、BtoC(消費者向け)の製品やサービスだけではなく、BtoB(企業向け)にも有効です。

消費者は、製品やサービスについての情報を得ることが難しいために、ブランドを通して商品価値を容易に認識するという効果があります。一方で、企業対企業の取引になると、企業は消費者よりも多くの情報を持っており、合理的な判断をするためにブランドは必要ないとされる…というのは大きな誤解です。

BtoBでも、顧客や潜在顧客は、企業や事業の差別化要素としてのブランドによって選択が容易になるのに変わりはありません

【4】ブランドとブランディングは違う

ブランドについて語るとき、人によって焦点が異なるために、話がかみ合わないことがあります。

そのような場合、「自社のブランドが何か」という話をしているのか、ブランドの品質を管理する活動のことを指すのか、広報宣伝活動の話をしているのか、レピュテーション(風評)管理なのか…ポジションや課題意識の違いから、論点がバラバラになっていることがほとんどです。

「ブランド」は、例えば企業であればそれが何を表すものかが定義づけられた存在です。

「ブランディング」とは、定義づけられたブランドを顧客が想起するブランドへのイメージとを結びつけるためのコミュニケーション戦略であり、目標達成に向けて計画し実行される一連の活動です。

【5】自社のブランドを定義づけることから始める

ブランディングは、「誰に」「どんな価値」を提供していくかに応える必要があります。すでに存在する製品やサービスであろうが、新しいものであろうが必要です。それが「ブランドの言語化」です。

「ブランドの言語化」をするために、「リサーチ」を行います。リサーチは、経営者や従業員、顧客といったステークホルダーからのブランドに抱く期待を明らかするものです。ブランドの所有者は経営者ではないというのが特徴です。このプロセスを通して、ステークホルダーとの合意形成をとります。

リサーチを経て、ブランドの言語化ができれば、次は「どのように」伝えるかです。ただ認知させればいいのではなく、実体を伴ったものとするため、あらゆる顧客接点においてブランドが体現されるようにしなければなりません。

【6】一貫性が必要

ブランドを認知させ、顧客あるいは潜在顧客にブランドイメージをあるべき形に正しく想起してもらうためには、顧客とのあらゆる接点において一貫性が必要になります。広告、WEBサイト、ロゴ、資料、名刺、そして全従業員でブランドを表現します。

あちらで「A」と言っている、こちらでは「B」と言っている、と言う状態では、そのブランドがどのような便益をもたらしてくれるのかわかりません。さらにどの接点でも一貫していれば、そのブランドは強固に強力に浸透していくはずです。

【7】評価測定が難しい

ブランディングの担当者の頭を悩ますのが、目標設定と効果測定です。測定がしにくいから予算もつくりにくくなってしまいます。

ブランドの浸透度合いを評価するためには、「認知」「理解」「実践」という3つのプロセスごとにどう評価するのかを考えるとよいでしょう。

KPI設定はインターブランドの評価項目が納得度が高いように思います。

ブランディングまとめ

以上、ブランディングのおすすめ本と、それらの本から学べる要素をピックアップしてみました。ブランディングは直接的な収益は生み出さないものの、経営戦略ともいえる重要なミッションです。

そのため、経営トップの理解と事業推進側の理解の両方が必要になってきます。単なる「広報」にならないよう、あらゆる関係者の教育も必要になってきます。がんばっていきましょう!

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