2022年もたくさんの本と出会い、読書してきました。後半は読書する時間的余裕がなくなってしまい、読書量は減ってしまったのですが、なかにはライフスタイルが変わったような本もありました。
要約するには至らなかった本も含め、みなさんにおすすめできるような本を選んでみました。年末年始…とは限定しませんので、気になったらぜひ手に取ってみてください!
(あくまで2022年に読んだ本なので、新刊ばかりではないです)
自伝
NEO HUMAN(ネオヒューマン)
自伝というジャンルに入るのか若干曖昧なところがありますが、『NEO HUMAN ネオ・ヒューマン: 究極の自由を得る未来』は、40代でALSを発症し身体的な制限を抱えることになったピーター・スコット・モーガン氏が、自身をサイボーグ化していく過程をストーリー仕立てでまとめた本。
現時点の科学技術でなせるサイボーグ化のすべてがあり、ヒューマンストーリーあり、ボリューム満載のハートフルな内容になっています。ピーターは実在の人物で、残念ながらピーターは今年2022年にお亡くなりになられました。ピーターはサイボーグ化の資金を集めるために、ドキュメンタリーを通して自分をプロモーションしたり、将来の映画化も計画に入れていました。そのうち映画化するかもしれません。
ピーターを一言で表すと、叛逆者。それまでALSは不治の病とされたものの、その死因はテクノロジーで解決可能なはずなのに、そんな処置がなされていないと医療業界に反旗を翻します。胃に栄養を取り込むチューブや排せつのチューブなど体内工事を敢行。さらに身体が動かなくなっても、声が出せなくなっても、愛する人と触れ合ったり話したりするためにサイボーグ化、さらにその先へビジョンが広がっていきます。
なにより、「愛の物語」。
NEO HUMAN ネオ・ヒューマン: 究極の自由を得る未来
著者:ピーター・スコット・モーガン
出版社:東洋経済新報社
発売日:2021/6/25
ページ数:464ページ
『NEO HUMAN』は要約もしてあります。こちらから。
『NEO HUMAN(ネオ・ヒューマン)』の書評とサクッと要約|すべての人間は宇宙を変える権利を手にしている(2022.4.16)
趣味
理由がわかればもっとおいしい!コーヒーを楽しむ教科書
すっかり、コーヒーが趣味になってしまいました。毎日会社で淹れています。コーヒーのサブスクなんてものにも加入してしまってます…
もともとコーヒーが特別に好きということもなかったのですが、それにしても毎日のように自販機でコーヒーを飲んでいました。数年前までは微糖の缶コーヒー、砂糖を気にするようになり健康も踏まえてペットボトルのブラックコーヒーに。コストは馬鹿にならず、1本130円、月に20回消費するとしたら2600円。「だったら豆買ったほうがいいじゃないか?」というケチ思考から始まったものです。
実は最初、コーヒーの淹れ方すら分からず、この本を読んで「何を揃えればいいのか」「どうやって抽出すればいいのか」という基礎を学びました。まあ、読んだだけでインプットできないんですけど…
よし、コーヒー買おうと息巻いてカルディに向かってみましたが、コーヒーの注文の仕方もさっぱりわからず、かなりの勇気を必要としました。いまではもう挽いてもらわずに豆で買ってコーヒーミルで挽くところまで到達しています。
ところで、カルディでコーヒーを買う時、ゆっくり選びたいのになんか声かけられてレジに誘導されてしまう、あれだけは何とかしてほしいです。
監修:井崎 英典
出版社:ナツメ社
発売日:2020/1/22
ページ数:224ページ
『コーヒーを楽しむ教科書』は要約もしてあります。こちらから
『コーヒーを楽しむ教科書』の書評とサクッと要約|コーヒーを知ることで好みの味を楽しむ(20221.15)
社会
多様性の科学
「多様性を尊重する」時代ですね。多様性が開かれているのは、社会背景と実利的な効果の2つが作用しているのではないかなと思います。
社会背景は、個人の尊重。例えば国籍、LGBT、宗教の違いはみんな違って当たり前だしマイノリティだとしても排除するのはおかしいという許容の時代になっているという点。実利的な効果というのは、ライフスタイル、考え方、専門性が違う人が集団のなかにいたほうが、集団が画一的にならずに過ちに早く気が付いたりアイデアのかけ合わせがより多様になり、様々なチャンスが得られるという点。
『多様性の科学』では、エコーチェンバー現象という、似たような集団の中では1つの考え方がどんどん強化されてしまう現象や、CIAが優秀な人たちの集まりなはずなのに似たような人材を採用してしまった結果、文化の違いによる危機察知の弱体化していたなど、脱・画一化の重要さがよく理解できます。読みやすい部類の本なのでおすすめです。
多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織
著者:マシュー・サイド
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日:2021/6/25
ページ数:464ページ
『多様性の科学』は要約もしてあります。こちらから。
『多様性の科学』の書評とサクッと要約|画一的な組織では盲点に気づけない(2022.6.11)
ビジネス
コンテナ物語
『コンテナ物語』は、Youtubeでもと2ちゃんねるの管理人・ひろゆき氏が動画配信をしていまして、そこでよく名前が挙がっていて興味を持ちました。「ひろゆき おすすめ」で検索すると出てくるそうなのですが、いまだに検索はしたことがない。
内容は、運輸業界ひいては世界中の物品取引に影響を起こしたマルコム・マクリーンという人の生涯を中心に、「コンテナ」という発明に焦点を当てた本。コンテナという箱そのものは多くの人が知っている運輸の時に使うこの箱が、実は世界経済を変えてしまうほどの発明で、どのようにして世界中で使われるようになったのかが分かります。
はじめはトラック野郎でしかなかったマクリーンが、思い切った手段を講じながら既得権益だった海運業に進出する過程、物流コストの革命的な削減、コンテナの規格統一…マクリーンは結構ばくち打ちというか、スレスレのところで生きていて、人生の起伏も山あり谷あり激動でめちゃくちゃ面白いです!
著者:マルク・レビンソン
出版社:日経BP
発売日:2019/10/24
ページ数:550ページ
『コンテナ物語』は要約もしています。こちらから。
『コンテナ物語』の書評とサクッと要約|世界を変えたのは「箱」の発明だった(2022/5/28)
マンガ
チェンソーマン第1部
最近、マンガアプリのなかでも「ジャンプ+」が熱いです。マンガアプリって大きく2種類あるのかなと思っていて、1つはECプラットフォームのような総合マンガアプリ。もう一つが編集部機能を持った出版社系のマンガアプリ。
オリジナルの漫画をアプリだけで展開する試み自体は、従来の出版社以外の会社も行っていたりしますが、そこはやはり出版社の本気度には敵わないのでは…と感じます。
ジャンプ+はオリジナルマンガもヒット作連発で、『SPY×FAMILY』などアニメ化作品が今後連発していく気配です。そのジャンプラのなかでジャンプ本誌での連載だった『チェンソーマン』のぢ2部が連載を開始。本誌の人気作がアプリに来るかというのもなかなか衝撃。
そしてこのタイミングで第1部が全話無料で公開され、私も一気に読みました。無駄さがないというか、展開があっという間で、感情移入する暇もないくらいあっさりと退場していく人たち多数。僅か2年という連載期間で多くの展開がなされ、独特の共感性にゾワゾワします。
チェンソーの悪魔のポチタが、なぜあんなかわいいのか教えてください。
著者:藤本 タツキ
出版社:集英社
巻数:11巻
連載期間:2019年1号~2021年2号
チェンソーマンはさすがに要約とかではないので、ジャンプ+のWEB版のリンク貼っておきます。
もう1冊挙げるなら
ブルシット・ジョブ
5冊選ぶって自分で言っておいてなんですが、無理ですね…。と、思ったので、上記に並べてみたのはなるべくジャンルが被らないもの。それぞれから、いろいろな示唆を得ているので、「読んで悪かった本」というの基本的にありません。
最後にもう1冊、前回の年末年始に読んで、今年にカウントするのかどうか迷った本『ブルシット・ジョブ』を次点として加えました。
タイトルになかなかパンチが効いていて、5分類される「クソどうでもいい仕事」について、なぜ生まれるのか、なぜなくならないのかが書かれています。ほんとはやらなくてもいいクソどうでもいい仕事はなくならないんですよね。
年末、心の大掃除におすすめしたい一冊です。
著者:デヴィッド・グレーバー
出版社:岩波書店
発売日:2020/7/30
ページ数:424ページ
『ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論』は要約もしています。こちらから。
『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』の書評とサクッと要約|なぜ本当は必要ない仕事があり続けるのか(2022/1/1)