『おしっこちょっぴりもれたろう』の書評とサクッと解説|困ってるのは一人じゃない

おしっこちょっぴりもれたろう Amazonほしい物リスト2020
おしっこちょっぴりもれたろう(ヨシタケシンスケ作)

僕がLINEのスタンプで使っているのはだいたい、ぼのぼのか、ヨシタケシンスケさんのイラスト。そのヨシタケシンスケさんの絵本、『おしっこちょっぴりもれたろう』。タイトルだけで笑かしにきてます。大人でも面白い笑

ヨシタケシンスケさんを知ったのは、たまたまもらったイラストシールがそれだったので、教えてもらったのが最初。その後、『情熱大陸』でも密着されていたり、業界のなかで注目の人なんだと知る。一度認識すると、その絵柄は分かりやすく、絵本だけではなく、広告?なんかでもちょこちょこ目にします。

おしっこちょっぴりもれたろう』は、そのタイトルの通り、おしっこをちょっぴり漏らしちゃう子の話。主人公は「もれたろう」。

もれたろうは、お母さんにちょっぴり漏らして怒られたあと、「もれ」を乾かす時間、自分と同じようにちょっぴり漏れてる人がいるんじゃないかと探しに行くという物語。そこで、みんなそれぞれ別の困りごとがあるという発見をします。

同じくらいの年の子どもに、「君も、もれたろうじゃない?」と聞く、このくだりは複数回繰り返されるのだけど、みんなは別のことで困ってます。どれも、あるある的な困りごとで、こういうところから、こどもの想像力が鍛えられるのかもしれないなと思いました。

後半は、漏れの悩み解消フェーズ。漏れ自体は解消しないけど、もれたろうを上回る漏れ具合の「けっこうもれたろう」くん、そしておじいちゃんを通して、悩みは悩みとして、そんなに気にすることないんだよってことを伝えています。前半のもれたろう探しとも相まって、大人へもちゃんと気づきを与えてくれる絵本だなーと思います。

絵本いいですね。練習してヨシタケシンスケ味のある絵を描けるようにしようかな~

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著者:ヨシタケシンスケとは

ヨシタケシンスケさんは、イラストレーターで絵本作家。1973年神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。その後、半年サラリーマン生活を経て、昼間は広告美術やコマ撮りアニメの人形製作、夜はイラストを描く仕事スタイルを続けている。

こどもが疑問に思うような日常のひとコマを独特な角度で切り取ったイラスト、絵本が人気。絵本作家としてのデビューは40歳。『りんごかもしれない』でデビュー。第6回MOE絵本屋さん大賞第1位、第61回産経児童出版文化賞美術賞。その後も、『りゆうがあります』『おしっこちょっぴりもれたろう』『もうぬげない』でMOE絵本屋さん大賞第1位を受賞するなど、現在、絵本作家のトップランナーとして活躍。

●インタビュー動画

●インタビュー記事
ヨシタケシンスケさん「わたしのわごむはわたさない」インタビュー ものの価値って何だろう(好書好日 2019.12.05)
絵本作家・ヨシタケシンスケ 30代で売れなかった僕が40歳で絵本を出版するまで(文春オンライン 2018.08.17)
ヨシタケシンスケ×糸井重里 対談 – 逃げつづけてきました(ほぼ日刊イトイ新聞 2017.05.12)

本の内容と感想

おしっこちょっぴりもれたろう
もれたろうを探す、もれたろう

悩みは、人それぞれ

おしっこする前後に、おしっこをちょっぴり漏らしてしまってパンツを汚してしまう「もれたろう」

でも、もれたろうは経験豊かなので、ズボンを履けばみえなくなるし、しばらくすると乾くのを知っています。乾かす時間、もれたろうは外に出て自分と同じ「ちょっぴりもれてる人」を探しに行きます。

そこで「キミ、もれたろうじゃない?」みたいなことを何人もの子どもに聞きまくります。

聞かれた側の子どもたちは、
・服のタグがチクチクしてる
・靴下がぬげてきちゃう
・ハナクソが鼻の奥でぴろぴろする
なんてことで困っていた。

もれたろうの、漏れるのが自分だけじゃないことを確認したい必死さや、聞かれた子どもたちの返事につい納得しちゃう様子がかわいい。

人それぞれに気になることというのが違って、それは千差万別。小さいことだけど、困りごとはたくさんあって、それを悩む度合いというのも人それぞれ。

子どもが読んだとき、面白がって、「こういうことも困る」とか日常を見る目線を変える子もいるんじゃないかな。

けっこうもれたろう君の存在

おしっこちょっぴりもれたろう
なんでぼくはもれたろうなんだろう

実はもれたろうと同じ、もれ仲間が存在。その子の名は、けっこうもれたろう君

けっこうもれたろう君は、結構漏れちゃってる。もれたろうが、ズボンを履けば見えなくなるのに対して、けっこうもれたろう君はズボンにも影響しちゃってる。やばい。

でも、けっこうもれたろう君は全然気にせず、全力で遊びまわってます。

自分よりも、やらかしちゃってる子がこれだけ元気よく過ごしている姿は、もれたろうにとってとても勇気づけられるものだったと思います。仲間って大事ですね。

お母さんの悩み

最後、漏れを乾かし終えて家に帰るもれたろう。内容は絵本なので共有してもいいのでしょうが、ここでは明記せずにおきます。締めもしっかりしてます。

最後のページのお母さんの表情が秀逸です。

最近サザエさんを見て、カツオが波平さんに怒られるのに対して、マスオさんは怒られないという回がありました。立場と関係性も考えさせられます…笑

まとめ

絵本って、独り身だと全然読む機会がない。でも実は日常のなかの問いが隠されているような、そんな風に思いました。絵本を読み聞かせって、子どもが楽しんでくれる、教育にいい、ということだけではなく、お父さんお母さんに対する教育にもなってるんじゃないかな。もしかしたら、そういう絵本こそ良い絵本なのかもしれない。

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