マイノリティデザインという言葉から、本を読む前は新しいマーケティングのビジネス書かと構えていましたが、ずっとライトな感じでした。とはいえ、最近のn=1のマーケティングにも通じるところがあり、思考を巡らせて考え抜いている人というのは、こうした「一人の課題の解決」にたどり着くものなのかという驚きがあります。
本の内容は、基本的には著者がマイノリティに注目した過程と、どういう風にマイノリティの弱さを、別の誰かの強さと合わせて、弱さを生かして持続的な生態系を作れるようになるか、という考えが書かれていました。
著者がいた業界は広告代理店。その人生のなかで問題提起として挙げたのはマス広告の限界というもの。
失われた30年と言いますが、この間に日本の広告業界がターゲットにしてきたペルソナという謎の存在は、いるだろうという空想上のものなんではないか…などのモヤモヤを抱えるなかで、今まで見逃していたマイノリティとの出会いで、マイノリティから始めるマーケティングがあるんではないかという気付きがあったのが著者。
自身の息子さんが視覚障害であることがわかり、そこから障害者200人に直接会って話を聞くうちに、いままで気が付かなかったマイノリティの魅力に気付いていきます。
さらに、自分自身も運動音痴という自覚があり、スポーツメーカーは運動音痴向けに門戸を開いていないことから、自分もマイノリティだったんだと気づきます。
息子や自分が楽しめるスポーツがないかと考えていくなかで「ゆるスポーツ協会」を設立し、どんどんマイノリティ起点のスポーツイベントが生まれていっているんだそうです。
苦手、弱さ、コンプレックスなどを持つ人すべて、誰もがマイノリティということを、認識して過ごしていくと、見える世界が変わっていくかもしれません。
本の概要と要約
著者の課題
父親がキレイなCMを作ったところで、視覚障害のある息子は見ることができない。障碍者はマーケティングから除外されている。
解決方法
誰しもが何かの苦手やコンプレックスを持っているマイノリティ。広告的なやり方でマイノリティに光を当てたい。
内容
・マイノリティデザインとは
ー弱さを生かせる社会を残す方法
・著者経歴
ー広告代理店に入社
ー営業からクリエイティブに
ーコピー、CM、ポスター手がけてきた
ーはじけて消えるシャボン玉を無限に作っていると感じる
ーペルソナは本当にいるのか、それは誰なのか…
・人生の大転換
ー広告はいったい何をしてきたのか
ーさとなお氏の投稿
ーパナソニック、シャープ、ソニーの凋落を広告や広告代理店は恥じるべきでは
ー商品広告だけでなくブランド広告も大きなお金を貰って手掛けてきた
ーなのに、ユーザーは安いほうへ流れ買い支えも起きない
ー長男の芽が見えないことがわかった
ー絶望
ー本を読み漁り、思いつく限り検索
ー障碍者200人に会うことにした
ー会う人会う人が面白い話を持っている
ー「できないこと」は克服ではなく生かすもの
ー担ぎ手が渋滞している神輿より、道に放りっぱなしの神輿を担ごう
・弱さから楽しい逆襲を始めよう
ー才能の使い道をスライドさせる
①広告(本業)で得た力を広告(本業)以外に生かす
②マス(誰か)ではなく、ひとり(あなた)のために
③使い捨てのファストアイデアではなく、持続可能なアイデアへ
・誰もがマイノリティ
ー障害、苦手、コンプレックスは誰にでもある
ー息子→視覚障害
ー自分→運動音痴
ー息子のため、自分のためを起点にして考える
・ゆるスポーツ協会の設立
ー弱者でも楽しめるスポーツの法則
①勝ったら嬉しい、負けても楽しい
②共有したくなる
③ミスしても笑える
ー事例
ーハンドソープボール
ーイモムシラグビー
ー全員がハンデを背負う
・もはやCMやポスターでなくてもいい
ー広告換算でゆるスポーツは数百億円規模
ー企業や協力者、障害者がどんどん集まるプラットフォームに
著者:澤田智洋(さわだともひろ)とは
1981年生まれ。言葉とスポーツと福祉が専門。幼少期をパリ、シカゴ、ロンドンで過ごした後、17歳で帰国。2004年、広告代理店入社。アミューズメントメディア総合学院、映画「ダークナイト・ライジング」、高知県などのコピーを手掛ける。 2015年にだれもが楽しめる新しいスポーツを開発する「世界ゆるスポーツ協会」を設立。これまで80以上の新しいスポーツを開発し、10万人以上が体験。また、一般社団法人障害攻略課理事として、ひとりを起点に服を開発する「041 FASHION」、ボディシェアリングロボット「NIN_NIN」など、福祉領域におけるビジネスを推進。著書に『ガチガチの世界をゆるめる』(百万年書房)がある。
●公式
note:澤田智洋
●インタビュー記事
澤田智洋さん「ガチガチの世界をゆるめる」インタビュー 「ゆるスポーツ」推進、「36.5°C」の平熱でつづける脱力系社会運動(好書好日 2020.12.01)
本の解説と感想
マイノリティデザインとは何か
マイノリティとは、「社会的弱者」という狭義の解釈ではなく、「社会の伸びしろ」。人はみな、なにかの弱者・マイノリティである
『マイノリティデザイン』p42
マイノリティという言葉の意味は、「少数派」という意味合いで使われています。トム・クルーズが主演した映画『マイノリティレポート』(3人の予知能力者で犯罪を抑止するシステムがある世界を描くSF作品)では、主人公のジョン・アンダートンが、3人の予知能力者の多数派が正確な予知とされ食い違う予知、すなわち「少数報告」を探すという話が描かれています。
マイノリティに対する言葉は「マジョリティ(多数派)」になりますが、本書では著者が広告出身ということもあり「マス(大衆、多量)」という言葉が用いられています。
広告代理店に勤務した著者・澤田智洋さんは、広告のコピーなどを手掛けるなかで、あることを感じたのだそうです。自分が関わっている広告が、自分がいなくても勝手に進んでいくのではないか。広告業界で訴求するターゲットを具体化するために用いられるペルソナ(例えば、25歳の女性で仕事にも慣れはもうすぐ一人暮らしを考えていて…みたいないそうな具体的人物)が、本当に存在するのか。そして広告そのものが、はじめて消えるシャボン玉を無限に作るような感覚。
そうしたなかで、2つの出来事が澤田さんの人生を大きく変えることになります。
1つ目が、著者と同じく広告業界に身を置く佐藤尚之さんのブログ記事「シャープやパナソニックやソニーの凋落を、広告人や広告会社はもっと恥じるべきじゃないかな」。これは当時、日本の電機メーカーのポジション後退について、広告業界の人たちに投げかけた意見。これらの企業が広告業界にどれだけ投資して、広告業界も商品広告だけでなくブランド広告も作ってきたはずなのに、ユーザーは安い商品が出てきたらすぐにそっちに行ってしまい、かつ苦しい状況に買い支えるということもなかなか生まれなかったことに、広告業界にも責任の一端があったのではないかというものでした。
2つ目が、長男の目が見えないことがわかったこと。視覚障害です。考えられる検索ワードで検索し、多くの本を読むなどとにかくすがるように情報を収集、思い立って障害当事者に会ってみようと動き、3か月で200人人たちにあったそうです。そうすると会う人会う人から面白いエピソードが出てきて、なぜ今まで関わってこなかったというくらい、新しい世界がそこには広がっているという感覚を抱いたそうです。
いろいろな人に会っていくなかで、世の中にあるものは、弱さを解決するための道具だったということとを知ります。例えばライター。マッチでは片腕しかなかったら火を起こせないので、それに気が付いた人が片腕でも火が起こせるライターを発明したという。また、曲がるストローは、寝たきりの人が手を使わなくても自分で飲めるように作られたものなのだとか。
いずれも本当かどうかは分かりませんが、『進化思考』では「創造とは疑似進化」であると述べられています。人間は適応していくために進化してきた過去があり、箸は食べ物を食べるためにより便利な「指」を人体の進化よりも先に道具という形で現れたものだとすると、それは不便を解消するものだということです。
不便なこと、苦手なこと、コンプレックス。これらと障害は同じマイノリティです。でもマイノリティの問題を解決することが、広く一般的に受け入れられてマイノリティ以外にも利用されているものは意外と多いのかもしれません。
著者は、みんなに担がれている神輿ではなく、そこらへんに置きっぱなしになっている神輿を担いで、弱さを生かせる社会を残そうと考えるようになりました。
才能をスライドさせる
「見えない。そんだけ。」
『マイノリティデザイン』
これは、ブラインドサッカーというスポーツの広告で使われたコピーです。この本を読んでもまだ個人的には、身体能力の一部がないというのは、とんでもない恐怖のように思え、そのなかでも目が見えないということは生きるうえで常に恐怖と共存するようなイメージを持っています。それにも関わらず、「そんだけ」というコピーは当事者ではない私にも訴えかけるものがあります。
ブラインドサッカー関係者にとっては「かっこいい!」「すごい!」といったポジティブな感想があったそうです。この広告を使った大会はチケットもよく売れ、著者は広告の力でブラインドサッカーの魅力を押し上げることができたという自負をお持ちになったようです(念のため補足しておくと、本のなかでは、広告は一助で、それまでの関係者の活動が実を結んだというように書かれています)。
こうした経験や、障害者とのコミュニケーションを通じていく過程で、こんなことも思うようになったそうです。これまでの仕事は強いものをより強くするための仕事、いわばレアルマドリードをコンサルしているようでもとから100の力のある素材を101にするような仕事だった。一方でマイノリティの世界は1とか5とかがたくさん転がっていて、クリエイターがそこに光をあてれば50とか70くらいには持って行けると。父親がCMを作ったところで視覚障害のある息子を見れないと嘆いたものの、福祉の世界に自分の考えた言葉やアイデアがじわじわと染み込んでくるのを見て、広告の力をスライドさせて弱さを生かせることができると。
著者の澤田さんはマイノリティデザインは以下の3つの考え方で始めるものと考えています。
①広告(本業)で得た力を、広告(本業)以外に生かす
②マス(誰か)ではなくひとり(あなた)のために
③使い捨てのファストアイデアではなく、持続可能なアイデアへ
①広告(本業)で得た力を、広告(本業)以外に生かす
本業で培った経験や知見は、その業界のなかでは当たり前で重宝されないかもしれないけど、場所を買えれば重宝されることも多いです。それをマイノリティに向けていくことで、ミクロでニッチな活動も突き詰めると成長していき、結果的に本業にも生かせるようになるかもしれません。
②マス(誰か)ではなくひとり(あなた)のために
最近のマーケティングでもn=1を意識する手法があります。これまでの大量生産大量消費の時代は、マスという「普通」のターゲットを想定することでやっていけました。しかしもはや普通の人が一体誰なのか分からない時代に突入しています。実は一人のために作られたコンテンツは昔からたくさんあるそうです。『不思議の国のアリス』はルイス・キャロルが、アリスという一人の女の子に語って聞かせた話がもとになっていて、『くまのプーさん』は作者が息子のクリストファーに向けて書いたもの。
③使い捨てのファストアイデアではなく、持続可能なアイデアへ
著者は最近の広告やマーケティングがファストアイデアになっていると言います。WEBやSNSは消費を加速させているのです。すでに昨日話題になっていたことをどれほど覚えているでしょうか。情報過多になっていることも大きな要因でしょう。しかし世界の流れはSDGsに象徴されるように持続可能な方向へ進もうとしています。
究極は、自分の中にあるマイノリティのために働くことが上記のすべてを満たすことになるはずです。次に紹介する「ゆるスポーツ」は、著者と息子にある弱さを解決していく選択肢です。
広告×マイノリティから「ゆるスポーツ」へ
できないことは無理に克服しなくていい。社会のほうを変えればいい
『マイノリティデザイン』 p100
考え方の転換です。ブラインドサッカーという視覚障害者のスポーツは、なかなかのエクストリームスポーツ。その世界に飛び込むハードルは高いものです。
著者は運動音痴なのだそうです。本を読む限り、学生時代の体育などではかなり苦手意識とコンプレックスを持っている模様。そこと障害者向けのユニバーサルデザインとを比較したとき、例えば足が不自由な人が日常生活が大変なので段差をなくしたりエレベーターを設置しようというのは社会モデルとして存在します。運動音痴を社会モデルとして捉えると、体育のほうが悪いのではないかと考え方を買えました。
そこで弱者でも楽しめるスポーツ(ゆるスポーツ)を考えるようになります。
そんなスポーツには3つの法則があることがわかりました。
①勝ったら嬉しい負けても楽しい
②共有したくなる
③笑えること
つまり、勝とうが負けようが思い切りはしゃげ、写真に撮って誰かに見せたくなって、ミスしてもみんなで笑えるということです。
そうしてハンドソープボールというスポーツを考案。
ハンドボールと基本ルールは変わらないものの、ぬるぬるするハンドソープを手に塗ってボールを持つので、運動神経抜群の人でも次々とボールを落としてしまいます。その光景がまた爆笑を生んでいくスポーツです。
澤田さんは、世界ゆるスポーツ協会を設立し、次々にこうした「ゆるスポーツ」を考えて世に送り出します。既存のスポーツでは「強い」「早い」「高い」という人がヒエラルキーの頂点にいますが、マイノリティの多様性に寄り添って勝利パターンを作るのがポイントだそうです。
ゆるスポーツは、広告ではないものの新しいメディアになってきているそうです。PR的にはパブリシティというのですが、取材を受けたりしてメディアが取り上げてくれるという状態を生み出せています。ゆるスポーツの目新しさや楽しさが、うまく企業が持つ技術を活用する形で設計されると、それが全国に放映されたりして、広告換算価値としては数百億円の価値になっているのだとか。
マイノリティデザインのつくり方
YouTube という世界の中でもっともクリエイティブなのは、YouTube という生態系そのものを作った開発者だ
『マイノリティデザイン』 p272
ここからは、実際にマイノリティデザインをどう作っていくかという話です。一種のフレームワークのようなものですね。澤田さんが設立した「ゆるスポーツ協会」は、ゆるスポーツという生態系であり、そうした循環するような仕組みが作れるといいのではないかと考えています。
ゆるスポーツは、誰でも楽しめるスポーツで、みんなが楽しくてシェアしてくなることで、メディアとしての機能を果たすことができるものを作り上げました。そしてそれは一度だけで終わることがなく、障害当事者や技術を持つ企業などがどんどん集まって、自走的に新しいスポーツが生まれるという状態になっています。
こうした生態系を作り出すヒントが「PPPPP」です。
Pinch(ピンチ)
ピンチの発見は課題新しい。これは一般のビジネスにも通じます。マイノリティデザインにおいては、マイノリティを可視化することで、例えば「数字に弱い」は「数字弱者」と捉えて可視化する。
Philosophy(フィロソフィー)
フィロソフィーの構想を練ります。ピンチを解決するための共有すべき意識、価値観、合言葉。何を目指そうとするのかという意識は企業であれば経営理念です。終始一貫としたものです。
Platform(プラットフォーム)
ピンチを解決するためのプラットフォームを準備します。瞬発的なアイディアではなく、より長期的かつ広い視野で包み込むことができる器です。
Picture(ピクチャー)
プラットフォームを作ったら、それをどのように展開していくかを描きます。ゆるスポーツの場合は、スポーツ発展のためのコンテンツではなく、あらゆる課題解決のための汎用性のある道具として捉えていました。
Prototype(プロトタイプ)
とりあえず一個作ってみるが基本です。プロトタイプを作っていって、課題が見つかればそれを回収していくのか、一歩下がって考え直すのかピボットしていきえます(ビジネス的には企業の『リーンスタートアップ』も参考になりそうです)
まとめ
マイノリティに目を向ける時代に、もうすでに入っていますよね。なぜそうなったのかは不思議で、いまだにマジョリティの意見は多い(当然といえば当然か)ですし、漠然としたマジョリティはいまだに存在しているものの、そのマジョリティは大きな括りでしかなく、実際は多様化しているように思います。
こうした社会になったのは、経済発展による大量生産大量消費が飽和状態になって、テクノロジー方面ではスマホ、それを背景にSNSで個人が発信できる時代になり、情報の取得チャネルが多角化し、欲しいと思った情報も探せば簡単に手に入るようになった、そんな複合的な要因があります。
そうしたなかで、今までマイノリティだった人たちが一大産業をつくることだってあります。かつてオタクと言われたマイノリティは、勢力を拡大し、広く「オタ」という言葉が用いられるようになりました。「推し活」も進化していったものですよね。
多くの選択肢が取れるようになって、自分もこだわりを持ち、他人のこだわりを否定しない、そんな世の中になっているように思います。マーケティングはますます難しくなりますが、やりがいがありますね。
本の目次
- はじめに
- 「いい仕事をしたい」という、だれしもの願いを叶えられない世の中はどうなのか
- 父親がキレイなCMをつくったところで、視覚障害のある息子を見れない
- ライターがこの世界に生まれた理由。「社会的弱者」は発明の母だった
- マイノリティに「広告的なやり方」で、光を当てられないか?
- 超アウェーの世界で「弱さ」の反転を目撃した
- マイノリティデザイン。それは「弱さを生かせる社会」を残す方法
- 苦手、できないこと、障害、コンプレックス……。人はみな、なにかの弱者・マイノリティ
- 超・個人的な課題に、社会全体を巻き込めばいい
- 僕らが陥っていたのは、クリエイティブとは真逆の「納品思考」
- 資本主義(強者)の伴奏者のまま、才能を食い尽くされていいんだろうか?
- 弱さを受け入れ、社会に投じ、だれかの強さと組み合わせよう
- 担ぎ手が渋滞している神輿より、道に置かれっぱなしの神輿を担ごう
- 第1章 マイノリティデザインとは何かー広告から福祉へ。「運命の課題」との出会い
- 最初は営業マン、お得意様の「お金の使い方」を決める仕事
- 生まれたときから僕は「部外者」だった
- フランスの「蝶々」で言葉の、アメリカの「海軍募集CM」で広告の力を知った
- 「境界線上」に立つ、アウトサイダーにこそ価値がある
- 予算をかけた派手なCMよりも、アイデアのある CMに惹かれた
- クリエイティブ試験に合格。でも花開かなかったコピーライターの才能
- はじめて広告が掲載された日、僕は山手線に乗って1周した
- 映画「スーパーマン」のコピーが、渋谷駅ハチ公前の大看板になった
- 花形だったCMプランナーへ。そこは数千万人にリーチする世界……でも
- ペルソナって、本当に実在するんでしょうか
- まるで、はじけて消えるシャボン玉を無限につくる仕事をしているような
- そろりと本流からズレはじめてみよう。「R25」連載マンガ
- 広告したい企業を、自分で選ぼう。ロイヤルホストの「黒✕黒ハンバーグ」
- 世界の片隅で「好きなことをやれたら一家」とせっかく思いはじめたのに
- さとなおさんは書いた。「広告はいったい、何をしてきたんだろう?」
- 生まれて3か月目に、長男の目が見えないことがわかった
- コピーライターなのに、広告コピーが書けなくなった
- なんにもわからなくなったから、障害当事者200人に会いにいく
- 障害者と出会うことは「Unlearn(アンラーン)」そのもの
- できないことは、「克服するもの」ではなく、「生かすもの」
- 「見えない。そんだけ。」業界の外に出るだけで、もらえたもの
- 銀河系軍団をコンサルするより弱いものを強くするほうがおもしろそうだ
- 広告を考えるときのように、人生のコンセプトを考えた
- 才能は「縦」に見ると、どん詰まり。「横」に見ると、無限の可能性がある
- 第2章 才能の使い道を、スライドさせよう。ー本業の外へ。マスではなく、ひとりのために。ファストアイデアよりも、持続可能なアイデアを。
- 義足をファッションにした「切断ヴィーナスショー」
- 「制約」を「翼」に変えるのがクリエイターの仕事だから
- ふたつの仕事を通じて、マイノリティデザインが見えてきた
- 超高齢社会という課題を逆手にとった、J-POP ならぬ「爺-POP」
- 才能スライドさせた世界に、これまでの仲間を連れていった
- 人の弱みと強みを交換し合う、ボディシェアリングロボット「NIN-NIN」
- 「SMALL」の中に「ALL」はある。小さなアイデアは大きなうねりになっていく
- 「ひとり」を起点にファッションを開発するユナイテッドアローズと協働した「041」
- 「ターゲットのため」ではない、ものづくりをしてみよう
- 新しいインプットから始めると、新しいアウトプットが生まれる
- だれかの弱さは、だれかの強さを引き出す
- クリエイターの餓え、渇き。僕らはみんな、もっと「いいもの」をつくりたかった
- マイノリティとマジョリティの世界に橋が架かった
- より良い社会をつくる以前に、より良い自分の働き方を
- 【方向①】広告(本業)で得た力を、広告(本業)以外に活かす
- 【方向②】マス(だれか)ではなく、ひとり(あなた)のために
- 【方向③】使い捨てのファストアイデアではなく、持続可能なアイデアへ
- 自分の中にあるマイノリティのために働こう
- 第3章 運動音痴がつくった「ゆるスポーツ」ー「弱さ」から始まる楽しい逆襲
- 目の見えない息子と公園に行っても、太鼓を叩くことしかできなかった
- スポーツって、何でこんなに選択肢が少ないんだろう?
- 考えてみたら、僕が世界でいちばん苦手なものも「体育」だった
- そもそも名前が良くないな。運動音痴は「スポーツ弱者」だ!
- 【仮説】「自分の強み」✕「自分の弱み」でスポーツをつくれないか?
- 【研究】バブルサッカー……あれをやれば、僕ら親子だってイケてる存在になれる
- 【発見】弱者でも楽しめるスポーツには、再現性のある「法則」があった
- 【事例①】運動音痴でも日本代表選手と戦える「ハンドソープボール」
- ベストなハンドソープを研究する日々は、クライアントに企画提案する日々に似ていた
- ミスが怖くなくなるルールにしよう
- 「スポーツ弱者を、世界からなくす」世界ゆるスポーツ協会、誕生
- 【事例②】歩けない人が強くなる「イモムシラグビー」
- 【事例③】大手スポーツ用品メーカー、ミズノさえ巻き込んだ「ベビーバスケット」
- 「強い」「速い」「高い」以外の勝ち方の多様化を目指そう
- アイデアを出すって、新しいスタートラインを引くこと
- 「磯野、野球やろうぜ!」くらいの感覚で、みんなにゆるっと呼びかけたい
- コピーを書くだけで終わらずに、「遊び場」そのものをつくった
- そもそもクリエイターのアイデアなんて、広告枠のオマケでしかなかったから
- 【事例④】CMの代わりにスポーツをつくった。 NECの「顔借競争」
- 企業ロゴが最後の3秒だけ出てくるCMが、うしろめたかった
- 【事例⑤】BtoB から BtoC へ向かう接点として テイ・エス テックの「緩急走」
- つくるべき広告はもはや、CMやポスターである必要はない
- 【事例⑥】人はだれもがクリエイター。富山県氷見市の「ハンぎょボール」
- 【結論】ゆるスポーツを広告換算してみると、数百億円分の露出になった
- 「市場を刈り取る」なんて、怖い言葉を使っていませんか
- 「課題不足」って言われるけど、そもそも掘る場所が違うんじゃないですか
- マーケティングって、「調査」じゃなくて市場そのものを「つくる」こと
- 「流行ってるの?」「違います。流行りとかじゃないんです」
- 第4章自分をクライアントにする方法ー企画書を自分宛に書いてみよう
- 大切な人が思い浮かばないわたしは、どうすればいいんですか?
- 矢印を「外へ遠くへ」ではなく「内へ近くへ」
- 大事件に遭う代わりに「自分 御中」の企画書を書いてみる
- 【分析①】自分の感情を知るーあなたの「マイ・ベスト・喜怒哀楽」は?
- 味わった怒りには、感情をミックスさせて立ち向かう
- 【分析②】自分の役割を知るー「高見ポートフォリオ」をつくろう
- 器用すぎる人ほど、「自分貢献」という項目を加えを
- 【分析③】自分の得意技を知るー仮にあなたがスーパーマンだったら
- 自分の会社で「当たり前の力」は他業種で「感謝される力」
- 【分析④】自分の苦手を知るー生まれ変わったときになくなっていてほしいものは?
- 【実践①】人生のコンセプトをつくるー働く理由を「スタート地点」に置く
- 【実践②】自分をディレクションするー人生に「立ち入り禁止ゾーン」を設定する
- 兎にも角にも、「納品するだけで重労働問題」
- 厄介すぎる「仕事後のビールうますぎ問題」
- なんのための代案か?「採用されるのは、結局1 案問題」
- 【仕上げ】トンマナをつくるー働き方のキャラや雰囲気を考える
- 「ユーモア」は張り詰めた空気にヒビを入れる
- もっと自分が居心地のいい世界をつくるために働けばいい
- 第5章マイノリティデザインのつくり方ー秒単位の「暇つぶし」ではなく、長生きする「生態系」を
- 持続可能なアイデアのつくり方を誰も教えてくれなかった
- 秒単位の「暇つぶし」ではなく、成長していく「生態系」そのものを
- つくって終わりではなく、つくって始まるクリエイティブ
- 生態系のつくり方は「PPPPP」
- ピンチ、フィロソフィー、プラットフォーム、 ピクチャー、プロトタイプ
- 気の合う仲間を集めたいときも、「PPPPP」は力になってくれる
- 御社だけが抱えている課題って、なんだと思いますか?
- みんなの心で、長生きする言葉を。「高知家」
- キャッチコピーならぬ「キャッチ概念」をつくろう
- 「一瞬」より「一生」を。「楽しい」より「うれしい」をつくろう
- 遊び心、怒り、疑い、エール、驚き。最終点検は「企画のあいうえお」
- 人ではなく、言葉にリーダーシップを持たせる
- 組織名やチーム名にすらリーダーシップを持たせることができる
- SNS で見る「#ハッシュタグ」もリーダーシップのある言葉
- 自分がスターになるのではなく、社会にトーチを掲げよう
- いい企画は、「現実」と「目指したい未来」の差分を明らかにする
- おわりに
- 無駄だと思っていた時間は、10年後に効いてきた
- 「SDGs」の外へ。18番目の目標は、自分の中にある
- 新卒採用の面接で、「10年後も御社は残っていますか?」と聞いた
- アウトサイダーであること。コンセプトをつくること。星座を見つけること
- 走馬灯という「人生最後のメディア」に入り込める仕事がしたい
- あなたには、もう必ず生み出しているものがある
- 「宝物のような迷惑」を与えてくれて、ありがとう