『7つの習慣』とはまさに私たちの基礎を作る日々の習慣。ビジネス研修でもよく提供されるので、ある程度は知っていたのですが、書籍としては読んだことがありませんでした。ビジネス書としてはかなりのベストセラー。マンガ版であったり子ども向けであったり、わかりやすくまとまった本もいくつか出版されているくらい、広く読まれています。
第1の習慣「主体性を発揮する」から始まり、それぞれの習慣が連続性をもって構成されるのが特徴です。
7つの習慣のなかでも、効果が分かりやすいなと思う第3の習慣「重要事項を優先する」ですが、これはそもそも個人として第2の習慣「目的を持って始める」で定めるような、何を目的に生きるのか、軸は何かが定まっていないと自分にとって重要なこととそうでないことがわからないし、第1の習慣「主体性を発揮する」という状態にないと個人のミッションステートメントを決めるなんてことに至らない。
つまり、7つの習慣はどれにも相互性がありどれも重要だということ。
第7の習慣「刃を研ぐ」は、投資の話でもあります。短期的な効果だけを狙うと持続性がなく、例えば1週間のうちに2日はランニングするなどの習慣があれば、肉体的にも精神的にもメンテナンスがなされ、結果として緊急を要するような事態にはならない可能性があるわけです。
ちなみに、これを知ったあと「7つの習慣」をすぐにやってみようと思うものの、できていないのは、緊急ではないから…ですね。そこから変えないかん。
ちなみに私が読んだのはハードカバー版です。古いのかな?
最近は新書版で持ちやすいバージョンで出版されています。内容に違いはないそうです。さらに漫画版もある模様。『7つの習慣』の原則はシンプルですが、内容的にはボリュームがあり、それぞれの繋がりをちゃんと理解するのは結構ハード。なので漫画版もいいのかもしれませんね。
本の概要と要約
著者の課題
素晴らしい社会的成功を収めている人でも、本当の成功(優れた人格)を持っていない人がいる。
解決方法
応急処置ではなく、永続的な幸福を手に入れるための7つの原則を取り入れ優れた人格を手に入れる
内容
・人格は繰り返される習慣の結果として得られる
-大きな改善を望むならパラダイムが必要
-パラダイムとは「なるほど」と違う解釈でみれること
・問題は見方
-若い女性か老婆に見える絵
-どちらでも正解だが、自分とは異なる意見を受け入れられるかどうか
・インサイドアウトという考え方
-まず自分自身の内面を変える
-私的成功が公的成功になる
・依存→自立→相互依存
-依存
-結果が出ないのはあなたのせいだ
-他人を頼るということ
-自立
-私はできる、私の責任、私が選択できる
-自分の努力
-相互依存
-私たちはできる、私たちは協力する
-自分の努力と他人の度量を合わせる
-最大の成果を出す
・7つの習慣
1.主体性を発揮する
-自分の価値観に基づき行動する
-人生の責任を引き受ける
2.目的を持って始める
-目的地をはっきりさせる
-個人のミッションステートメントを書く
-原則を生活の中心に置く
3.重要事項を優先する
-自由意思を発揮する
-緊急ではないが重要なことを計画的に実行する
4.win-winを考える
-他人の不幸を望む欠乏マインドではなく
-ともに分かち合える豊かさマインドを養う
5.理解してから理解する
-感情移入のコミュニケーション
-自分中心に考えない
6.相乗効果を発揮する
-1+1が8にも16にも
-最初の案より良い第三案の存在を確信する
-相違点を貴ぶ
7.刃を研ぐ
-自分自身という最も大切な資源を維持する
-肉体的、精神的、知的、社会・情緒的
著者:スティーブン・R. コヴィーとは
20世紀で最も影響力のあるビジネス書とされる『7つの習慣 成功には原則があった!』の著者。 ハーバード大学MBA、ブリガムヤング大学で博士号を取得している。リーダーシップの権威として国際的な評価を得ており、フランクリン・コヴィー社の共同創設者・副会長、教師、作家、組織のコンサルタントとして活躍。2012年7月16日、自転車事故の負傷がもとで死去。79歳没。
『7つの習慣』は日本でも研修に用いられ(開催にはフランクリン・コヴィー・ジャパンで後任の資格が必要)、来日した際は研修企業のインタビューも多く受けていたようで、記事もいくつか残っています。
●インタビュー記事
コヴィー博士とのインタビュー対談(富士通ラーニングエージェンシー)
7つの習慣とは
「7つの習慣」は、世界38カ国に拠点を持つフランクリン・コヴィー・グループの創設者、 スティーブン・R・コヴィー博士の著作『7つの習慣』(英語原題は”The 7 Habits of Highly Effective People”) )で提唱されている、表面的な成功ではなく本当の成功、つまり優れた人格になるための7つの行動原則のこと。『7つの習慣』はこれまでに44か国語で翻訳され、全世界3000万部、日本では累計200万部を売り上げるベストセラーとなっている。また、フランクリン・コヴィーでは、7つの習慣をベースとして様々なタイプの研修を実施している。
●公式
フランクリン・コヴィー・ジャパン
真の効果性を目指すビジネス・パーソンのための7habits.jp
本の解説と感想(レビュー)
7つの習慣を実践するメリット
私たちは、短期的な結果を追求するあまり、大切な物的資源を台無しにしてしまうことがしばしばある
『7つの習慣』 p64
7つの習慣を実践するメリットは、長期的に発揮されます。本書の例えに「ガチョウと黄金の卵」という寓話が出てくるので紹介します。
金の卵を産むガチョウがおり、男は個の卵を打って金を手にすることができました。金の卵は何個も産み落とされ、男はやがて産まれてくるのを待つことができなくなり、ガチョウを殺害してお腹のなかから取り出そうとしました。しかし、そこには何もなかった。ガチョウも死んでしまい、男は二度と金の卵を手にすることがなくなった。
この寓話は、短期的な利益を狙ったがために、長期的に富をもたらし続ける源泉を失ってしまうということを示唆しています。
別の例では芝刈り機の話があります。芝刈り機を購入して手入れせずに使って2年後に故障するようになって直すものの、元のパフォーマンスの半分にしかならい。ですが、2年間きちんとメンテナンスをしていれば2年後も同じパフォーマンスを享受していたはず…というもの。
コヴィー氏は、これをP(performance)とPC(performance capability)のバランスと表現しています。芝刈りという成果目標(performance)に対し、目標達成能力(performance capability)のケアを忘れてはいけないということです。
私たちに身近なところで言えば、歯医者に通うとか、適度な運動を心がける、食事に気をつけるという、一時ではなく習慣化してこそ効果を発揮するものが想像しやすいです。第三の習慣で紹介しますが、人は緊急でないものはつい後回しにしがちです。虫歯などは痛みが走ってから歯医者に行くのではなく、定期的に歯磨き、歯医者に通えば突発的な状況を迎えずに済み、歯を抜かなくても済むかもしれません。
個性主義と人格主義
7つの習慣は、コヴィー氏が人格主義と呼んでいるものを形成するための習慣として紹介されています。
人格主義に対比されるのが個性主義です。個性主義では、テクニックに偏った問題の対処が扱われるものの、人格主義では人の根深いところから考えていきます。例えば、話し方であったり、○○シンキングというものは上辺だけの対処法でしかありません。ですが、誠意・謙虚さ・忍耐・勤勉といったものはテクニックでは身につかない「人格」の素養。個性主義から人格主義へのパラダイムこそが、7つの習慣なんです。
私的成功と公的成功
信頼されたければ、信頼性のある人になることである
『7つの習慣』 p46
7つの習慣では、「インサイド・アウト」という考え方に立ちます。自分自身の内面を変えることから始め、自分自身の根本的なパラダイム、人格、動機などを変えることから始めるということです。
本書では「私的成功が公的成功に先立つ」と書かれているのですが、要するに、信頼されたければ、信頼性のある人になること。他人に影響を及ぼすには、まず自分が変わること。ということ。人に対して約束をしてそれを守る前に、まず自分自身に対する約束をしてその約束を守らなければならないという考え方です。
インサイド・アウトの話のなかで、トリックアートの例でよく扱われる「若い女性と老婆」の絵があります。冒頭部分で貼りましたが、もう一回は貼り付けておきます。左側の絵、若い女性と老婆、どちらに見えますか。手書きですが結構よく書けてる気がする…
見方によって、若い女性と老婆のどちらにも見えます。ところが自分の見方しかできない人同士であれば、老婆だ若い女性だという主張がぶつかり合うだけです。一歩引いて、私の見方とあなたの見方というものがあるということを考えて受け入れれば、話がスムーズに進みそうですよね。なので、自分自身の成功(イン)があって、初めて相手を理解し(アウト)し、その関りをもって最大の生産性が挙げられるでしょ、って話になるわけですね。
信頼残高
信頼がなければ、友情はない。誠実さがなければ、信頼はないサミュエルジョンソン
『7つの習慣』 サミュエル・ジョンソンP265
人には、信頼残高という名の財産があるという話です。7つの習慣では、この信頼残高が公的成功(第4、第5、第6の習慣)に直結すると言っても過言ではないでしょう。
「この人は信頼できない」と思われたら、他人と一緒に活動することはままなりません。なので、わたしたちは信頼残高を蓄えておくことが求められます。信頼とは、言い換えれば安心感。その人が礼儀正しく、親切で、約束を守る行動をとっていれば信頼残高は高まります。
AさんとBさんが何かミスを犯してしまったとき、その一事だけを切り出せば、同じミスですが、日ごろから誠実なAさんと、ずぼらなBさんとでは、他人の受け止め方が違うのは明白です。信頼残高はミスを補ってくれるのです。
信頼残高はちょっとしたことでも蓄えることができます。相手を理解しようと努めること、小さなことを大切にすること、約束を守ること。
7つの習慣の紹介
「7つの習慣」は、それぞれが独立した要素なのではなく順序だったアプローチです。順をおって解説していきます。
第1の習慣 主体性を発揮する
約束をし、それを守ることである。もうひとつは目標を設定し、それを達成するために働くことである
『7つの習慣』 p119
第1の習慣「主体性を発揮する」のは自己責任の原則。
主体性をもって自分の価値観に基づき行動すること、人生の責任を引き受けることです。主体性になるとは、物事に対してどう思うか、どう向き合うかを自分自身で決定できるということです。これは自分でコントロール可能な範囲に限られ、自分ではどうしようもないことに対しては目を向けず、コントロール可能な部分に集中します。
例として、『夜と霧』で有名なヴィクトール・E・フランクが挙げられていました。
フランクルは収容所での生活を綴っています。そのなかでは過酷な状況下のなかで、人間がどう変化していくのかを冷静に観察している様子がうかがえます。これはフランクルが、自分ではどうしようもない環境の中において、もしも解放されたら大学でこの体験をもとに講義をしようと想像したことで、アイデンティティを失わずにいれたのだと本書では説明されています。
映画『インビクタス』で出てきたネルソン・マンデラの言葉「私が我が運命の支配者、私が我が魂の指揮官なのだ」という言葉を思い出します。
第2の習慣 目的を持って始める
第2の習慣「目的を持って始める」のは自己リーダーシップの原則。
冒頭、もし自分の葬儀の場面を眺めているとして、あなたの人生について誰に何と言って欲しいだろうか、という問いがあります。それが目的に結びつくことなのかもしれません。それぞれの参列者ごとに、あなたの役割は変わっているので、全員が同じことを言うとは限りません。
目的をもって始めるためには、ミッションステートメント(個人的な憲法または信条)を書くことです。例えば、家庭で成功しよう、正直に生きよう、感謝を忘れないようにしよう、など。
あらゆるものは、知的創造がまず最初にあり、次に物的な創造に移ります。物的な創造(目的の達成)を目指すために、個人のミッションステートメントで物的な創造に向けての基準を明確にするということです。建築するまえに設計図があるのと同じです。
第3の習慣 重要事項を優先する
優先課題に「イエス」と言うには、一見重要に見える緊急な活動に「ノー」と言わなければならない
『7つの習慣』 p222
第3の習慣「重要事項を優先する」のは自己管理の原則。
第3の習慣を可能にするのは自由意志です。第2の習慣で目的が明確になったのなら、その目的に向かって重要なことを進んで実行することが求められます。第3の習慣では、時間管理のマトリックスが参考になります。7つの習慣のなかでも実践的に使えるので、この枠組みを覚えておくだけでも有意義化と。
時間管理のマトリックスは、緊急度と重要度でセグメントされます。効果的に人生を営む人は第3領域と第4領域を避けようと生活しています。それは緊急であろうがなかろうが「重要ではないから」です。そしてなるべく第2領域に時間を投資することにより第1領域になり得る問題を減らすことを重視します。
●第1領域:緊急でかつ重要な領域
即時の対応を要求し、かつ大切な結果と結びついているもの。「問題」あるいは「危機」と呼ばれる事象。最重要であることは間違いなく、喫緊の課題なので対処しなくてはならないものの、ここに集中してしまうとやがて疲れ果ててしまうため、逃げ込める第4領域に依存してしまう恐れもある。実は、第1領域と錯覚して実は第3領域に多くの時間を浪費する人もいるので、注意が必要。この人たちは反応的で振り回されているだけなのです。上司からの依頼、飲み会の誘いなど。
●第2領域:緊急ではないが重要な領域
ここに集中することは長期の時間軸で効果的な自己管理になります。長期の計画、運動、病気の予防、健康管理などは全てこの領域です。重要なのですが、喫緊の課題ではないために明日からにしよう…とつい後回しにしてしまうことが多いのが第2領域あるある。ですが、定期的なランニングは体力の維持に役立ちますし、歯のケアなど放っておくと重要な病気にかかるかもしれないもののメンテナンスなど、投資対効果が一番大きいとも言えます。
●第3領域:緊急だが重要ではない領域
ここはなかなかコントロールが難しいものもあるのですが、重要ではないのでなるべくやりたくない領域。第1領域と認識していること、例えば「急いでやってほしい」という仕事が舞い込んだとき、それが本当に重要なのかどうかは冷静に考えておきたいところです。ただ人との関係もあるので、むげにNOと言ってしまうと相手も困るので、まず受け止めて相手の見方を知ることが重要でしょう。
●第4領域:緊急ではなく重要でもない領域
人間が思わず耽ってしまう領域。まったくやるべきではないのではなく、優先順はしっかりと計画しましょうということ。例えば週末にNetflixで動画を見ることに時間を割くことは、悪いことではありません。息抜きも必要でしょう。それが行き過ぎて、重要な第1と第2の領域の時間を奪ってしまうことは避けたいということです。
さて、優先順位を上げたい第2領域。この活動を行うためには、第1の習慣でもある主体的でなければならなりません。なぜなら、第1領域や第3領域の事柄は緊急なので、私たちが意図しなくても向こうから向こうからいきなり現れ、第2領域は自ら進んで働きかけなければならないからです。
第2領域に集中するには週単位で計画をするといいだろうと、コヴィー氏は述べています。「スケジュール課題に優先順位をつけることではなく、優先課題をスケジュールに入れる」ことだと。
さらに時間の使い方へのアドバイスがもう一つ。デレゲーションというものです。他人に仕事を任せることをデレゲーションというそうです。
私たちが目標を達成するには二つしか方法はない。時間を投入して自分で実行するか、他の人に任せるかのどちらかである
『7つの習慣』 p243
つい「自分でやったほうが早い」と思って、他人に任せきれませんが、デレゲーションを行っていくととても効果が大きい活動なのです。例えばあなたが起業したとして、営業も開発も資金調達も一人でやるような状態でい続けることは不可能です。営業を1人2人と雇えば、売上の成長スピードは加速するはず。より効果的にデレゲーションをやるには、使い走りにするのではなく、出すべき結果を共有し、責任を持たせる形にすることです。こうすることで、相互理解が深まり、相乗効果を発揮します。
第4の習慣 win-winを考える
第4の習慣「win-winを考える」のは人間関係におけるリーダーシップの原則。
人同士の利害の関係のパターンは、winとloseという分け方で考えると6つの人間関係に整理できます。
- win-winの関係
- win-loseの関係
- lose-winの関係
- lose-loseの関係
- winの関係
- no dealの関係
最後の「no deal」はwin-winにならなければ取引しないということです。いずれの関係性も、どれがいいかという明確なものは実はありません。win-loseの関係も、勝敗をつけるスポーツであれば必ずその関係性になります。そういった例外は頭に入れつつも、相互依存の状態になるには長期的にwin-winの関係にならなければあり得ません。win-win を実現するには、密かに他人の失敗を望むのような「欠乏マインド」ではなく、人と喜びを分かち合う「豊かさマインド」が必要になります。
また、信頼残高こそがwin-winのベースにあり、互いに何を期待しているのかの目線を合わせて合意するというプロセスも大事になってきます。
第5の習慣 理解してから理解される
ほとんどの人は、理解しようとして聞いているのではなく、答えようとして聞いているのだ。話しているか、話す準備をしているか、二つにひとつである
『7つの習慣』 p361
第5の習慣「理解してから理解される」のは感情移入のコミュニケーションの原則。
『LISTEN』という本を先日読みましたが、すでにコヴィー博士も指摘されていたんですね。人は話を聞いているようで聞くふりをしているとか、選択的に聴くとか。自分の感情を置いて、相手の立場で聞くということですね。『人を動かす』の「盗人にも五分の理を認める」にも似ているでしょうか。
これは相互依存の関係になるために大事な要素です。子どもが「学校に行きたくない」という告白に対して、アドバイスをしようと自分の経験などだけで語ってしまうと、本当にその子が思っている悩みなどに触れることができず、信頼を獲得できません。信頼を獲得しなければアドバイスも聞き入れられないのです。
第6の習慣 相乗効果を発揮する
第6の習慣「相乗効果を発揮する」のは創造的な協力の原則。
よく「シナジー」という言葉が心地よさそうな言葉で出てきますが、1+1=2ではなくそれ以上になることをシナジー、相乗効果と言います。分かりやすく言えば、男女の結びつきから子供が生まれるということです(厳密に言うと3人産まないといけないのかもしれませんが…)
この相乗効果にも信頼関係がとても重要です。コミュニケーションの形によって、1+1=2ではなくもっと大きくなる可能性があるからです。『心理的安全性のつくり方』で詳しく説明されていますが、職場の関係性のなかで、厳しい環境と緩い環境という正反対な職場では双方ともに生産性が高まりません。厳しいことでもなんでも言い合える、信頼関係に基づいたコミュニケーションができれば、みんなが創造的な活動に意欲的に取り組めるのです。
相乗効果の本質は、同じ考えを尊重するのではなく、相違点から創造性を探ることです。同じ考えの人がいたとしたら、単純に言えば一人余分なだけとも言えてしまうのです。昨今、多様性というキーワードが飛び交っていますが、自然界はまさに多様性。多様性があってこそ、進化があります。
第7の習慣 刃を研ぐ
読まない人は、読めない人と何ら変わりはない
『7つの習慣』p446
第7の習慣「刃を研ぐ」のは、自己再新再生の原則
第3の習慣でいう第2領域に通じる話です。きこりが森のなかで木を倒そうと、のこぎりを休みなく使っていたら、だんだんと切れ味が悪くなり非効率になってきくでしょう。途中で刃を研いでいればもっと早く仕事が終わるかもしれません。第7の習慣では、自分自身を重要な資源として考えた時の習慣でいくつかの面で研ぎ続けることを推奨しています。
1.肉体的側面
持久力、柔軟性、強さ。バランスの取れた栄養のある食事を取り、十分な休養を心がけ定期的に運動することで磨かれます。運動には緊急性がないので、なかなか実行できない人が多いものの、非常に波及効果の大きい第2領域の活動の一つです。身体のメンテナンスを疎かにすると、結果として健康問題や病気に直面し第一領域に入り込むことになります。コスト的にもよく、保険に入るより、健康であろうとしたほうが結果的にコストが低くなるはず。
2.精神的側面
自分の核の部分。価値観。これを磨くのが人によってさまざまで、マインドフルネスのような精神を整えるものであったり、音楽に接することかもしれません。いずれにしても時間に投資をする必要がある第2領域の活動です。
3.知的側面
私たちは、20歳の頃までは学業に勤しみ、知識を蓄えますが、学校を卒業してしまうと多くの人の知識は弱体化します。小さなころ、あんなに読書はいいよと薦められていたのに、大人になって本を読まないなんて矛盾があるのでしょうか。ありますよね…。社会に出たとしても、学び続けるというマインドは重要です。とくにこれからの時代は、次々に新しい仕事が出てくるはず。新しい知識を手に入れるということは、社会に対する理解を高め、自分のパラダイムを拡大し知的側面の刃を研ぐことができます。
4.社会・情緒的側面
人間関係におけるリーダーシップ。これはコミュニケーションレベルが感情移入ができる状態でなければなかなか育てることができません。ただし、7つの習慣の6つ目までにたどり着いて、私的成功から公的成功に至った人は、すでに取り立てて考える必要はない。普段の生活の中で人と接することで行うことができるからです。
まとめ:7つの習慣
7つの習慣を読むと、これまで読んできたいくつかの名著、最新の研究のなかでも語られるものが多くあります。やはり人格というの重要で、心の豊かさを持つ為に自分をよく理解するというプロセスが必要なんだなと思いました。
7つの習慣のなかでも特に覚えておきたいのが、第3の習慣の第2領域(緊急ではないが重要である)に時間を割くということ。最近、ランニングやってないんだよな。適度なランニングは確実に健康な体を作りますよね。週に1回でも走るか。
あ、でも寒くなってきたしな…
本の目次
- 第一部 パラダイムと原則について
- インサイド・アウト(内から外へ)
- 人格主義の回復
- 真の成功とは
- 見方が変われば世界が変わる
- 大きな改善を望むならパラダイム転換
- 見方があり方を決める
- 原則中心のパラダイム
- 成長はプロセスである
- 問題の見方が問題である
- インサイド・アウトという新しい考えのレベル
- 人生の扉を開く「7つの習慣」
- 習慣の三つの要素
- 相互依存への道
- 『ガチョウと黄金の卵』の教訓
- 人・物・金、鍵はバランスにある
- 組織の目標達成能力
- この本の活用方法について
- 変化の扉を開く
- インサイド・アウト(内から外へ)
- 第ニ部 私的成功
- 第1の習慣 主体性を発揮する
- 自己責任の原則
- 社会通念というゆがんだ鏡
- 刺激、反応、そして選択の自由
- 人生の責任を引き受ける
- 頭と率先力を使いなさい
- 作用するか作用されるか
- 言葉が「自己達成予言」になる
- 影響の輪と関心の輪
- すべての問題は影響できる
- 影響の輪を広げる
- 「持つ」か「なる」か
- 成功は失敗の彼方にある
- 生活の主導権を取り戻す
- 三十日間のテスト
- 「第一の習慣/主体性を発揮する」ー応用の提案
- 自己責任の原則
- 第2の習慣 目的を持って始める
- 自己リーダーシップの原則
- 成功のはしご
- すべてのものは二度つくられる
- 意図するか放任するか
- リーダーシップとマネジメント︰二つの創造
- 人生の新しい脚本
- 個人的なミッション・ステートメント
- 中心から変わる
- 生活の中心におくもの
- あなたの生活の中心は何か
- 原則中心の生活
- 個人的なミッション・ステートメントを書く
- 家族のミッション・ステートメント
- 組織のミッション・ステートメントの大きな力
- 「第ニの習慣/目的を持って始める」ー応用の提案ー
- 自己リーダーシップの原則
- 第3の習慣 重要事項を優先する
- 自己管理の原則
- 自由意志の力
- 時間管理の四つの世代
- 生き方を変える第ニの領域
- ノーと言える喜び
- 第ニ領域に入るためには
- 新しい時間管理のツール
- 時間管理への旅立ち
- 原則に忠実、スケジュールに柔軟
- 第四世代の進展
- デレゲーションによりPとPCの双方を高める
- 使い走りのデレゲーション
- 完全なデレゲーション
- 第ニ領域のパラダイム
- 「第三の習慣/重要事項を優先する」ー応用の提案ー
- 自己管理の原則
- 第1の習慣 主体性を発揮する
- 第三部 公的成功
- 相互依存のパラダイム
- 信頼残高という名の財産
- 信頼残高を作る六つの大切な預け入れ
- 愛の法則と人生の法則
- P(目標達成)の問題はPC(目標達成能力)の機会である
- 相互依存の習慣
- 第4の習慣 win-winを考える
- 人間関係におけるリーダーシップの原則
- 人間関係の六つのパラダイム
- win-win を支える五つの柱
- 「第四の習慣/win-win を考える」ー応用の提案ー
- 人間関係におけるリーダーシップの原則
- 第5の習慣 理解してから理解される
- 感情移入のコミュニケーションの原則
- 人に影響を与える鍵は人に影響されることだ
- 相手を本当に理解するためには
- 処方する前に診断する
- 四つの自叙伝的な反応と感情移入
- 理解することが win-win の扉を開く
- エトス、パトス、ロゴス、効果的なプレゼンテーションとは
- 一対一、相手の目を通して人生を見つめる
- 「第五の習慣/理解してから理解される」ー応用の提案ー
- 感情移入のコミュニケーションの原則
- 第6の習慣 相乗効果を発揮する
- 創造的な協力の原則
- コミュニケーションのアドベンチャー
- カオスの彼方
- ビジネスにおける相乗効果
- 一プラス一は千六百!?
- 第三の案を探し出す
- マイナスの相乗効果
- 相違点を尊ぶ
- 「成功」を妨げるブレーキを外せ
- 自然界の全てが相乗効果的である
- 「第六の習慣/相乗効果を発揮する」ー応用の提案ー
- 創造的な協力の原則
- 相互依存のパラダイム
- 第四部 再新再生
- 第7の習慣 刃を研ぐ
- バランスのとれた自己再新再生の原則
- 再新再生の四つの側面
- あなたの思いが相手をいかす
- 再新再生のバランス
- 「7つの習慣」における相乗効果
- 上向きの循環
- 「第七の習慣/刃を研ぐ」ー応用の提案ー
- 再びインサイド・アウト
- 世代を越えて生きる
- 流れを変える人になる
- 個人的な追伸
- バランスのとれた自己再新再生の原則
- 第7の習慣 刃を研ぐ