「進化思考」、これは面白いアプローチだなと思いました。創造性というのは何か、というのを生物の進化に置き換えて、同じことが言えるのではないかというもの。
生物の進化において、DNAが複製を繰り返すなかでエラーを起こすと変異が発生する。これは例えば、クマがもともと黒かったのに、白いクマが生まれるということを想像してみると分かりやすい。白いクマは変異であり、珍しいのだけど、北極という氷と雪の大地では発見されにくく、アザラシなどを捕まえるのには格好の姿だった。これが適応。
創造というものも、分断されたなかで出来上がったものは、必要性がないのかもしれない。すべては関係があって、そこから何らかがエラーをきたした変異が、その状況において必要性があるかどうか受け入れられる。つまり新しい物を作り上げても、その時代の人々に受け入れられるかどうか、でしょうか。
「セグウェイ(立ち乗り型の電動二輪車)」は、欠失の変異。世の中にロンチするまでにマーケで移動革命のように期待されましたが、発売されるタイミングでは大きな失望とともにあっという間に見向きもされなくなりました。今でいうメタバースにあたる「セカンドライフ」は、転移の変異。2007年に話題になり新しい大きな市場になると話題になりましたが、ユーザーには必要とされずすぐに廃れました。時と場所が変われば、セグウェイが使われることは現在そこそこあるし、セカンドライフは微妙だけど再びメタバースが注目されていますね。
あ、もしかしたら受け入れられない「変異」ではあったけど、長時間かけての「適応」の最中なのかもしれません。2021年、瞬間風速的な盛り上がりを見せた音声SNSの「Clubhouse」とか一気にどうなるんでしょう笑
今回、ABDで読んだのですが、ボリュームが多く、読むので精一杯でしたね。読みやすいんですけど。
この本で提案されている「進化ワーク」を実践してみると、いまあなたが進化させたい何かを、実際に進化させるための大きなヒントになる…かも?
本の概要と要約
著者の課題
見たことのない「新しい形」を作ることが、優れた創造なのか。旅をして奇抜な建造物を見ても何の感慨も湧かなかったり、逆に期待せず訪れた建築の心地よさに感激した。創造について何か重要なものを見過ごしていないか。
解決方法
形より関係のほうが重要だと気が付いた。どうやら創造にまつわる不変の法則が存在するようだ。謎を開く鍵は生物の進化にあった。
内容
・進化思考とは?
-人間の創造性を生物の進化の観点で引き出す方法論
・生物の進化
-遺伝、DNAのエラー(変異)によって発生
-自然の振るいにかけられ状況に適応した個体が残る
-世代を重ねて細部まで適応していき形態が進化する
-生存戦略によって種が分化していく
・人間の創造性
-進化のDNAにあたるのが言語
-言語は5万年前に生まれ、そのから星の数ほど道具が生まれた
-20万年前から5万年前の間はわずかな石器だけだった
・言語のエラー
-言い換え、入れ替え、言い間違い、組み合わせ
-創造とは言語によって発現した疑似進化
-遺伝は長期で創造は短期
-メガホンは越えの拡張
-箸は指の拡張
・適応と変異の往復によって進化する
-適応(WHY)なぜ必要か
-解剖
-ミクロに見る
-なぜ、どう機能する
-レシピ、リバースエンジニアリング
-系統
-過去の影響
-どんな経緯でどう進化したか
-歴史
-生態
-マクロに見る
-モノや人のつながりを知る
-マーケティング、バリューチェーン
-予測
-未来を想像する
-未来の課題を知って希望を持つ
-SF、シナリオプランニング
-変異(HOW)どう変化するか
-変量:極端な量に
-椅子を長く→ベンチを広く→ベッド
-擬態:まねる
-鳥→飛行機
-欠失:減らす
-馬車から馬をなくす→自動車
-お金を手元からなくす→キャッシュレス
-増殖:増やす
-ピアノの鍵盤→全体が揃って機能
-転移:新しい場所
-電車を地下に→地下鉄
-交換:入れ替え
-規格化(ボールペン、ハードディスク)
-分離:分ける
-有料/無料、物質を原資に分解
-逆転:真逆にする
-黒板⇔ホワイトボード
-融合:組み合わせ
-カレー+うどん
著者:太刀川英輔とは
NOSIGNER代表 / JIDA(公益社団法人日本インダストリアルデザイン協会)理事長 / 進化思考家 / デザインストラテジスト / 慶應義塾大学特別招聘准教授 / 2025大阪関西万博日本館基本構想クリエイター。希望ある未来の代案をデザインし、創造性教育の更新を目指すデザインストラテジスト。
産学官の様々なセクターの中に変革者を育むため、生物の進化という自然現象から創造性の本質を学ぶ「進化思考」を提唱し、創造的な教育を普及させる活動を続ける。プロダクト、グラフィック、建築などの高いデザインの表現力を活かし、SDGs、次世代エネルギー、地域活性などを扱う数々のプロジェクトで総合的な戦略を描く。グッドデザイン賞金賞、アジアデザイン賞大賞他、国内外を問わず100以上のデザイン賞を受賞し、DFAA(Design for Asia Awards)、WAF(World Architecture Festival)、グッドデザイン賞等の審査委員を歴任する。主なプロジェクトに、OLIVE、東京防災、PANDAID、山本山、横浜DeNAベイスターズ、YOXO、2025大阪・関西万博日本館基本構想など。
著書の『進化思考』(海士の風、2021年)は学術賞「山本七平賞」を受賞。他に『デザインと革新』(パイ インターナショナル、2016年)がある
●インタビュー記事
NOSIGNER代表・太刀川英輔さんが「進化思考を広め、創造性を発揮する人を増やすには?」について聞きたい理由(Qonversations 2019.06.11)
「素人と玄人を往復する」——NOSIGNER太刀川英輔氏に聞く、“共創”のコツ。(TOMORUBA 2019.04.22)
世界的デザイナーがやさしく解説「誰でもつかめる、創造的なアイディアを生む進化思考」~太刀川英輔氏(リクナビNEXTジャーナル 2021.05.24)
●公式
進化思考/海士の風
Twitter:太刀川英輔/進化思考/NOSIGNER@NOSIGNER
●受賞歴
2021年山本七平章『進化思考』(NOSIGNER太刀川著『進化思考』が第30回山本七平賞を受賞)
本の解説と感想(レビュー)
進化と創造の構造
序章では、著者の太刀川氏の過去と、学生時代の哲学のような問いから「進化思考」という探求が始まったことが触れられています。大学で建築デザインを学んでいた太刀川氏は、優れたデザインは見たことがない新しい形に帰着すると思っていたものの、「奇抜な建築物を見ても何の感慨もわかなかった」一方で、「期待せずに訪れた建築の心地よさに感激した」というところから、創造という現象について何か重要なものを見過ごしているのではないかという疑問を抱いたそうです。
探求していくと、創造には形よりも「関係」が重要だということにたどり着きます。
この関係というのは、繋がりという意味です。繋がりというものには解釈がいろいろできますが、少なくとも断続的なものではなく何かしら繋がっているものを抱えているということです。
TPOという言葉もあったりしますが、場に合った服装が美しさになります。結婚式でタンクトップを着るなんてことはないわけです。マラソンで仮装して走れるのは、そういうイベントに至るまでの流れがあり、公式大会ではとても認められません。原宿でなら映えるモダンなファッションも、地方からその服を着てくる途中の姿は、違和感がります。
だんだんミクロ的な話になってきましたが、これがマクロ⇔ミクロで説明できるのが生物の進化。生物の進化は、DNAが複製を繰り返す途中でエラーを起こし、それが固有の特徴を生み、その特徴が環境に適応することができれば、その個体が生き残り繁栄していく。クマがシロクマになったのは偶然に白い個体が生まれたからですが、アザラシなどに発見されにくい姿だったからこそ、その変異があった個体が生き残るということになったために、種として分化していったのです。
進化論の構造は①変異によるエラー、②自然選択と適応、③形態の進化、④種の分化を繰り返していくことです。これには長大な年月と世代をかけなければなりません。しかし、人間の創造性はその進化を短期間で成そうとする試みです。
発明で考えてみます。「バカと天才は紙一重」という言葉がありますが、狂ったことをやらなければ、変化は環境任せになるだけです。エジソンやニコラ・テスラのようなイレギュラーがなかったらどうだったでしょうか。本書では以下のように表現されています。
・狂人性とは人のやらないことをやること(バカ=変異=HOW)
・秀才性とは状況を把握して本質を理解するためのプロセス(秀才=適応=WHY)
さらに、太刀川氏は創造の源泉が「言語」であると仮説を立てます。20万年前から5万年前の人類はわずかな石器しか発明できなかったものの、言語が発明された5万年前から今までに無数の道具が発明されてきたことの説明が付きやすいという。
創造とは、言語によって発現した「疑似進化」の能力である
『進化思考』p48
という言葉がしっくりきます。例えば箸は、熱い食べ物を掴んだり衛生的に食べるなど指の持つ身体の限界を拡張するために生まれたし、メガホンは遠くまで声を届かせたいというところから生まれました。
この創造が起こり得た構造を、言語の定性定量のエラーと表現していますが、一言で言えば様々な組み合わせが想像を膨らませ、創造の仮説を立てる能力を得たということではないでしょうか。創造に向けた変化自体はミクロでできますが、それが長いあいだ続くのかどうかはまさにマクロな環境に必要とされているかどうかで、適応フェーズになっていきます。
このように、生物の進化の観点で、人の創造性を引き出す方法論を進化思考と呼んでいるのです。
変異(HOW)の9パターン
1.変量
モノは同じでも、数字を変えることで違う物を創造するということです。生物の進化では、ムササビやモモンガは皮膚を伸ばすことで飛空能力を得て、キリンは高い物を食べるために長い首を手に入れました。
創造においての量的変化は、テレビを大きくしてみようとすれば映画館のスクリーンになるし、小さくしようとすればスマホともいえます。移動を早くしようとすれば、馬から自動車、電車になります。
2.擬態
すでにあるものに似せる、ということも変異の手段になります。生物進化においては、生き残るために姿を葉っぱに似せる虫がいたりします。
創造においては、鳥のように空を飛ぶという発想から飛行機に至ったと言えるでしょう。ロボットも人間がやっていた動作を真似るところからきています。
3.欠失
もともとあったものが無くなるという進化は、様々あります。トカゲに似ているはずの蛇には足がなく、チンパンジーにはある尻尾が人間にはない。色の欠失もあり、いわゆるアルビノと呼ばれるものもあります。
創造においては、さきほど馬車の話をしましたが、馬が欠失して車輪だけで動かす自動車が生まれ、最近では扇風機から羽がなくなったダイソンの扇風機が話題になりました。お金は物体自体がなくなり、電子マネーというものが生まれています。
4.増殖
増殖、というとなんとなく同じ生物がたくさん増えるというイメージですが、ここでいう増殖は、1つのものが複数になることで全体となる、増幅することで新たなものが必要になる、という意味で使われています。生物の進化では、牛の胃袋が7つあること、トンボの目が2万個あるということ。
日常生活のなかに、こうした増殖による創造は多くあります。トランプ、色鉛筆などもそうです。またピアノやキーボードは一つ一つのボタンは独立していますが、それだけでは成り立たず、全部そろうことで一つのモノになります。
増幅していくとそれが原因で新しい何かも生まれます。車が増えた現代では駐車場が欠かせませんし、データ社会においてデータセンターという集約される存在があったほうが効率的だったりします。
5.転移
転移というのは、生存戦略にとって重要です。生物で言えば、魚が陸地に上がる進化であったり、人間がアフリカ大陸から世界に移ったり、たんぽぽが風で種子を違う場所に運ぶということをやっています。
創造の面では、モノ・ヒト・場所の転移というパターンがあります。モノの移動というのは機能を別の用途で用いるようなイメージ。ポストイットとかが分かりやすそうです。ヒトというのはなかなか理解難しいところですが、例えば医療現場の人不足を補うために医学生は現場でインターンを行うという手段で解決したりします。最近では情報伝達の手段がビデオ会議やチャットが主になってきていますが、もともとは口づてにしないといけないところから進化してます。
6.交換
交換も生物の進化のなかでは、生存戦略の一つです。ヤドカリは他の種が残した貝を定期的に交換するし、カッコウは他の種の鳥の巣に卵をうみつけ、孵化した子どもを育てさせます。
創造における交換は、私たちの生活を便利にしている規格化された製品。ボールペン、電池、USB。これらは物理的な交換ですが、意味的な交換というものもあり、記憶装置としてのフロッピーディスク、ハードディスク、SDカードになるというものもあったりします。
7.分離
分離とは、ひとつだったものを切り離して、それぞれ、または一方が独立して機能するというもの。生物の進化では、内臓機能の発達が挙げられます。それぞれが独立して発達します。トカゲは尻尾を切り落としても生き残れます。
創造面では、例えば内臓については分離されてるからこそ、一部を欠失しても生き残ることはできるし、交換もできたりする医療技術が発達しています。日常的には、部分的な分離はそこかしこでみられていて、例えば引き出し、上下水道、間取り。ごみの分別。そうすることによって、効率的な活動ができます。
8.逆転
逆転の発想ということばがあります。多くの人が裏をかかれ驚くような創造がなされます。生物の進化の面では、その意味は何なのかは興味深いところですが、タツノオトシゴがオスが出産と育児をしたり、頭を下にして過ごすオオコウモリなど、私たちが考える常識とは逆の生態を持つ生物が多く存在します。
創造の面ではどうでしょう。上下左右裏表を逆にするというのがわかりやすいでしょうか。リバーシブルの服なんてのもあったりしますね。カメラでの撮影で自分を対象にする自撮りという文化も生まれました。
9.融合
融合とは掛け合わせ。ちょっと個人的にエラーと当てはめるには無理があるんじゃないかという気はするんですが、本来的に組み合わさるはずのないものが組み合わさったという意味でのエラーと理解します。
生物の進化では、自然のなかでの共生も一つの融合でしょうか。共生することによって共進化というものも発生します(世界標準の経営理論のレッドクイーン理論でありましたね)
創造における融合というのは、ビジネスの世界でもよくいわれますが、イノベーションは既存知と既存知融合(シュンペーターの新結合)が分かりやすいです…というと混乱がありそうですが、「カレー」+「うどん」でカレーうどんという革命的な食べ物が生まれる、そんな感じです。
適応(WHY)
本のカバーを外すと、適応の4つの要素で「進化思考」がデザインされてます。なんかお洒落だったので写真に収めてみました笑
変異によって創造の核が生まれたとして、それが残っていくのかどうかはやはり「自然選択」によるスクリーニングによります。生物が変異してその個体が生き残るには自然選択なされるよう、人間がモノを作り進化させていくこの過程の中に「適応」というフェーズは欠かせないものです。
その適応を観察するための要素が時空間での分析で、その要素は「解剖」「生態」「系統」「予測」です。
解剖
解剖は、空間のなかでミクロの視点です。内部構造を見るものです。
中身を分解することで、なぜこのような構造になり、どのように機能するのかを考察します。内部に秘められた機能や作られ方を理解することでモノがすでに備えている可能性を発見します。例えばリバースエンジニアリング(製品やプログラムを入手して分解や解析すること)なんかがその手法としてあります。
生態
生態は、空間のなかでマクロの視点です。外部との繋がりを想像します。
モノや人のつながりを理解する。動物行動学で生態系を俯瞰する方法によって、周囲の人やモノの関係性を探り、マクロなシステムとして構造を発見します。マーケットのなかでのマーケティングや、流通までのバリューチェーン分析などで繋がりを想像することができます。
系統
系統は、時間のなかで過去に目をむけた視点です。過去からの影響や文脈をみます。
物事の文脈、つまりどんな経緯をたどって、どう進化を遂げたのか、過去からどう影響を受けたのかを探るのですが、これはたとえばそのものの歴史を把握したりすることでつかめそうです。例えば大企業には社史があったりしますが、脈々と続くながれを理解することは、未来に目を向けながらも原点に立ち返ることができます。
予測
予測は、時間のなかで未来に目をむけた視点です。未来を明確かつ希望あるものとして想像します。
ビジネスの世界では、よく中長期計画をたてたりします。これはその会社が目指すビジョンに向けて何をするのか、というバックキャストと言えます。ほかにも国連で決議されたSDGsなんかもそれにあたりますね。あるいは、過去のデータから未来を予測するフォアキャストというものもあります。未来に向けては、シナリオプランニングであったり、小説や映画などSFといったものが想像させる手段としてあります。
まとめ
第4章と終章にまとめがあるので、それがこの「進化思考」で伝えたいことの全貌えあったりします。本書は生物の進化の構造と、人間が世に生み出す発明、道具の創造性が似ているということに着目し、非常におもしろい内容でした。
生物の変異と適応は、自然界でも何万年、何百万年のサイクルで繰り返され、幾世代も経ることで成り立ってきました。そして、言葉を手に入れた人類だけが、道具によって疑似進化することに成功し、地球上の支配者になりました。この人間の創造性はある意味で悪であり善にもなりそう。直近の気候変動は人間の影響が大きいものでしょうが、その問題を解決するのも人間しかいません。『人新世の「資本論」』では経済の脱成長が投げかけられましたが、テクノロジーの進化はこうした問題を解決できる可能性だってあるのではないでしょうか。
まあ、それは置きな話ですが、とりあえず僕は早くgoogleさんが翻訳コンニャクを発明してくれることに期待しています!
本の目次
- はじめに
- 序章 創造とは何か
- 創造と関係のあいだ
- 創造の本質に関わる謎
- 「美しさ」とは何か
- 「発想の強度」とは何か
- 「関係」をどう捉えるか
- 「真に作るべきもの」は何か
- 「自然のほうが創造がうまい」のはなぜか
- 「ヒトが創造する生物」なのはなぜか
- 創造と関係のあいだ
- 第1章 進化と思考の構造
- バカと秀才と天才
- 創造性とIQ
- バカの能力
- 秀才の能力
- バカと秀才の実像
- 創造性と年齢の関係
- 創造を生まない教育
- 原始生命の知性
- 進化の知的構造
- 創造は進化を模倣している?
- 進化と創造のデザイン展
- 進化思考の誕生
- 変異と適応を別個に考える
- 進化の螺旋を回す思考
- 進化ワーク――進化思考をはじめよう
- バカと秀才と天才
- 第2章 変異
- 進化は変異から生まれる
- 変化はエラーが引き起こす
- 進化もまたエラーから生まれる
- デザインの文法
- 言語とDNA
- 変異の9パターン
- 1 変異
- 極端な量を想像してみよう
- 生物進化における「変量」
- 創造における「変量」
- 変量1 超大きく
- 変量2 超小さく
- 変量3 超薄く
- 変量4 超厚く
- 変量5 超高く
- 変量6 超長く
- 変量7 超軽く
- 変量8 超速く
- 変量9 超遅く
- 変量10 超柔らかく
- 「変量」をデザインする
- 「変量」が世界を変えるとき
- 2 擬態
- 欲しい状況を真似てみよう
- 生物進化における「擬態」
- 創造における「擬態」
- 「擬態」をデザインする
- 3 欠失
- 標準装備を減らしてみよう
- 生物進化における「欠失」
- 創造における「欠失」
- 「欠失」をデザインする
- 4 増殖
- 常識よりも増やしてみよう
- 生物進化における「増殖」
- 創造における「増殖」
- 増殖1 部位を増やす
- 増殖2 群れや巣をつくる
- 5 転移
- 美しい場所を探してみよう
- 生物進化における「転移」
- 創造における「転移」
- 転移1 モノの転移
- 転移2 人の転移
- 転移3 場所の転移
- 6 交換
- 違う物に入れ替えてみよう
- 生物進化における「交換」
- 創造における「交換」
- 交換1 物理的な交換
- 交換2 意味的な交換
- 交換3 概念的な交換
- 7 分離
- 別々の要素に分けて見よう
- 生物進化における「分離」
- 創造における「分離」
- 「分離」をデザインする
- 不可分のものを分離する
- 8 逆転
- 真逆の状況を考えてみよう
- 生物進化における「逆転」
- 創造における「逆転」
- 逆転1 物理的に逆転する
- 逆転2 意味的に逆転する
- 逆転3 関係的に逆転する
- 逆転4 地球環境危機を逆転する
- 「逆転」をデザインする
- 9 融合
- 意外な物と組み合わせてみよう
- 生物進化における「融合」
- 創造における「融合」
- 「融合」をデザインする
- 変異のまとめ―偶発への挑戦が新しい可能性を拓く
- 進化は変異から生まれる
- 第3章 適応
- 進化を磨く時間と空間
- 時間と空間を観るには
- 1 解剖
- 内側の構造と意味を知ろう
- 三つの科学的な解剖方法
- 1形態の解剖――要素に分解する
- 入れ子構造を想像する
- 2生理の解剖――要素の意味と、要素時間の関係を考える
- 3発生の解剖――創造の手順を考える
- デザインという自然現象を解剖する
- [自然選択] 張力――それは関係と形が一致するか
- [自然選択] 最適化――それは徹底的に無駄がないか
- 対称性と周期性
- 構造の破れと流動
- フラクタル
- 視覚的な表面の構成
- 膜の表面と質感
- デザインの収斂
- [自然選択] 生産性――それは効率的に実現できるか
- 1形態の解剖――要素に分解する
- 2 系統
- 過去の系譜を引き受けよう
- 分類と系統
- 1分類学――現在の事象を収集する
- 2系統学――過去からの流れを理解する
- 進化論の歴史をたどる
- 創造の進化図を描いてみる
- 系統図の隙間から見えてくるもの
- 前例に学び、歴史を超える
- 系統樹を描く
- 系統樹に正解はない。正確さよりも文脈の流れを意識しよう
- 進化の結び目に気をつける
- [自然選択] 遺伝子プール――それは失敗を繰り返さないか
- 欲求の系統樹
- 「欲求の系統樹」の要点
- [自然選択] 意志――それは不変の願いを背負うか
- 系統の思考――不変の願いを引き受ける敬意
- 3 生態
- 外部に繋がる関係を観よう
- 生態Ⅰ――人と自然の関係を確認する
- 森羅万象の視野に立つ――5W1H
- 登場人物に思いを馳せる――WHO
- 自然を他者として捉える
- 必要不可欠なモノとの繋がり――WHAT
- 状況の想像力――WHEN・WHERE
- 生態マップを描く
- それぞれの意思と存続意義――WHY
- 生存競争のパターン――WHY・-(マイナス)
- [自然選択]性競争――それは魅力で競争に勝てるか
- [自然選択]資源――それは持続可能な資源なのか
- [自然選択]天敵――それは簡単に破棄されないか
- [自然選択]赤の女王仮説――それは早く進化できるか
- [自然選択]生態系の変化――それは変化についていけるか
- [自然選択]寄生――それは敵にハックされないか
- 共生関係を生み出す利他と愛情――WHY・+(プラス)
- [自然選択]共生――それは相手と一体感を生むか
- [自然選択]ニッチ――それは状況を活かし切れるか
- [自然選択]群れ――それは目的を共有しているか
- 環世界――自分とは異なる、他者が生きる世界を尊重する
- 自他非分離が仲間をつくる
- 負の循環――WHY・-(マイナス)の連鎖はさらなる過酷さを生み出す
- 正の循環――WHY・+(プラス)の連鎖は状況を好転させる
- プラスとマイナス――愛と痛みによる共進化
- 生態Ⅱ複雑性――繋がりの法則性を理解する
- It’s a small world. 世界が狭くなる繋がりの秘密
- [自然選択]越境――それは領域を超えて繋がるか
- [自然選択]ハブ――それは個への求心力を持つか
- 調和のある繋がりを作るために
- 共生圏のなかで循環させる
- 負のハブを変換する
- 共生的な繋がりを取り戻す
- 小さなクラスターから始めてみる
- 繋がりを体験する進化の学校
- 自然発生を促す場づくり
- 生態の思考――自己を生態と一致させる慈愛
- 4 予測
- 未来予測を希望に繋げよう
- 予測Ⅰ フォアキャスト――データから予測する
- 単位――尺度はなんだろう
- 新しい単位を考えてみる
- グラフ――変化を可視化する
- 相関関係と因果関係を読み取る
- 確率――予測の確かさを判断する
- データは客観を導く
- 時空間学習によって未来予測の精度を上げる
- [自然選択]回避――それは悪い予測を回避するか
- 予測Ⅱ バックキャスト――目標から逆算する
- 視覚――カンブリア大爆発の理由
- VISION――視覚で未来を思考する
- 夢への道のりを精緻化する技術
- 神話は姿を変えて現実となる
- [自然選択]希望――それは未来への希望となるか
- 適応進化――創造性を磨く本質的な自然選択
- 自然選択のチェックリスト
- 適応のまとめ――自然発生する意図
- 適応は愛を目指す
- 進化を磨く時間と空間
- 第4章 コンセプト
- 変異と適応の往復
- 適応の愛、変異の力
- コンセプトの受精
- コンセプトの誕生――変異と適応の仮説化
- WHYのコンセプト――適応への普遍的な願い
- HOWのコンセプト――変異による先鋭的手段
- 創造の交配
- 交配的思考による創造のプロセス
- 創造が価値になるとき
- 遊びと好奇心
- 生き残るコンセプト
- 変異と適応の往復
- 終章 創造性の進化
- 人間中心からの卒業
- 創造性教育の進化
- おわりに
- 人間中心からの卒業