『AKIRA 1巻 鉄雄』の感想|え、アキラって主人公じゃないの?

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AKIRA(大友克洋 著)

正直に告白すると『AKIRA』は、ずっと、主人公の名前がアキラだと思ってました。違うというのが一番驚き。すみません、今まで読んだことがなく、初めて触れてます。ずっと読まねば、読みたい…!と思っていたので、昨年の誕生日におねだりをして贈って頂きました。感謝。

日本アニメやマンガ史を振り返って、名作としてすぐに挙がるほど、抜けた知名度と人気を誇るAKIRAですが、今まで手に取らなかったのは、例えば『攻殻機動隊』も似ているように、描写や線が細く、また機械感というか物理的なこだわりというのか、実際にありそうな物体が漫画のコマに入りこむと「漫画」として読みにくいな、という印象があったのかも。

小学生の頃に『風の谷のナウシカ』を読んだときなんかは、途中で気持ち悪くなってそっと閉じた記憶があります。たぶん、脳の処理が間に合わなくなってたんじゃなかろうか…。

線の細さとか書き込みだけがすごいかというと、今ではさほど珍しいものではなく、そこそこ見かけます。キャラクターがデフォルメされているような作品でも、ものすごい書き込み量だなと思うものも多い。しかも書き込みのわりに結構スラスラ読めてしまう。超能力バトルのようなものも、今ではありふれているし、かなり昔からそういう設定はあるような気もする。

AKIRAが連載され始めたのは1982年。私が生まれる前。
調べてみると、例えばジャンプに連載されていたのは、キン肉マン、Dr.スランプ、キャッツアイ、奇面組(ハイスクールじゃないほう)。

そんな作品と比べてみると、やはり明らかに線が細い。細やかで、緻密。コマ割り、余白、間、文字の置き方。すべてがしっかりと一つの作品をなしている感じ。

「老人のような子ども」が登場するのですが、表情とシワが絶妙。主人公のバイク仲間の一人が、「ガキか爺かどっちなんだ?」と問い詰めるような場面がありますが、読み手の気持ちを代弁している。あと登場人物は、なんというかデフォルメされてない、素の日本人のようで、取り立ててイケメンや美女と言えるキャラはいない。(そういえば描かれる女性が極端に少ないような…)

という感じで、AKIRAのすごさを知るには、当時の漫画の潮流とその後の影響を知る必要がありそうです。ネットにたくさん情報があるから助かります…

今回読んだのは1巻のみなのですが、6巻まであり、これは全て読みたい。

1巻では、主人公の金田と、同じバイクチームだった哲雄のライバルとしての構図が出来上がり(とうより、哲雄が昔から何らかコンプレックスを持っていたような)、次の展開に向かおうとしている。

漫画を集めるよりアニメで先回りしそうですが、教養としてAKIRAを学びたいと思います!

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AKIRA 1巻の内容と感想

1巻の構図

1巻のAKIRA関係図的なものを整理すると、とりあえずこんな感じで分かれる。

①金田率いるバイクチーム
暴走族のようなことをしているバイクチーム。金田がリーダー。鉄雄も所属している。
爆心地でバイクを走らせていると、鉄雄の前に老人のような子ども(タカシ)が現れぶつかりそうになった瞬間、鉄雄のバイクが爆発。後日タカシを発見し、追いかける金田が、反政府ゲリラとアーミーのドンパチに巻き込まれていく流れ。

②アーミー
1巻では、大佐と呼ばれる大柄の人物がその象徴になっている。脱走したタカシを探し、施設に戻す。タカシの超能力によって入院した鉄雄に「ナンバーズ」というタカシやマサルと同じような才能を発見し、1巻の最後ではやばそうなカプセルを飲んで覚醒した鉄雄を仲間に引き入れる。

③反政府ゲリラ
1巻で登場するのはケイという少女と、その兄という竜作が主に登場。どうやらアキラを連れ出そうとしたものの、脱出させたのはタカシだったという失敗を犯していた。

④鉄雄と哲雄に乗っ取られるバイクチーム・クラウン
超能力を得て、いきってしまった鉄雄。あっという間にライバルのバイクチームのボスになる。鉄雄がカプセルを欲しいがために、他の勢力に必要以上に危害を加えるようになったため、1巻終盤では金田らなどのバイクチームを含む連合チームに襲撃される。

⑤ナンバーズ
アーミーに管理されているっぽい、老人のような子どもたち。26号がタカシ、27号がマサル。鉄雄は41号と呼ばれる。
 

東京オリンピック

AKIRAセリフ集

1982年に新型爆弾が投下され廃墟と化した東京。復興の象徴として2020年に東京オリンピックが開催される予定というのが、AKIRAの背景設定のひとつ。

新型コロナの感染が広がって、東京オリンピックの開催が危ぶまれたときに、『AKIRA』が予言していたのかと話題になりましたが、もっと前にも東日本大震災からその復興を掲げて東京招致が実現しているわけで、リンクしている感はあります。まあ、偶然だとは思いますが…

もし2021年に開催されたオリンピックが、いろいろな影響により開会式が企画されていたら、AKIRAは関わっていたかもしれませんね。

「AKIRA(アキラ)って誰?」問題

いや、ほんとことごとく登場する人物に「お前もアキラじゃねのかよ!」というツッコミだらけです。主人公に対して、「金田…アキラさんなんですよね?あなたは」とずっと思いながら読み進めていました…

そんななか、老人のような子どもの一人(タカシ)を施設から外に脱出させた政府の反抗組織の一人が、タカシのことを「アキラ」だと思っていたという描写があり、そこで初めてアキラが今までに登場した誰かではなく、まだ未登場の存在だということが分かります。

ただし、どうやら反抗勢力が勘違いしていた様子から察するに、アキラであったり、アキラを迎えに来た「マサル」、施設に寝たきりのような状態になっている「キヨコ」と同じように、老人のような子どもである可能性が高そう。

「アキラ」について詳細を知っている人物が軍の大佐。ナンバーズの一人「キヨコ」が「アキラがもうすぐ起きる」と予言すると慌てふためいたり、国家予算の話でアキラに関する予算に懐疑的な新参者たちの意見に真っ向否定したり、スタジアム建設予定地の地下にある「アキラ」と名札のように書かれたドーム状の機械を視察に行ったり。

この大佐、どのような目的と背景を持っている人なのか気になります。

春木屋

不良たちのたまり場となっているバー。めちゃくちゃ不思議なのが、なぜ反政府ゲリラのメンバーがこんな危なそうな場所を待ち合わせの場所に選んだのかと言うこと。1巻最大の謎と言ってもいいかもしれない。

もしかしたら、情報源として活用している場所なのかもしれないけど…。あっという間に金田らに絡まれる始末。

AKIRAセリフ集

ナンバーズ

1巻から分かる情報は、子どもなんだけど老化が進んでいる者で、かつ何らかの超能力があり、カプセルがないと精神が安定しない者たち。番号と名前で管理されていて、鉄雄のバイクを爆発させたり、金田・ゲリラ・アーミーを巻き込んだ騒動の発端となった「タカシ」は26号。

タカシは脱走しているなか、体調が悪くなっていくのですが、どうやらカプセルを飲まないと身体と精神が安定しない模様。

ほかには、27号のマサル。タカシよりちょっと落ち着いている。ナンバーズがいる施設で横になっている女の子が「キヨコ」。なぜかジャングルの王者ターちゃんのヴァンパイア篇で血が抜かれた梁師範を思い出しました。

覚醒した鉄雄は大佐から41号と呼ばれるので、鉄雄が一番新しいナンバーズだとすると41人が存在するのか。番号に何か意味があるのか気になるところです。

あと、なぜか反政府ゲリラの「ケイ」は、タカシの名前は知らなかったけど番号は知っていた。そこまで知っていて、アキラと間違うもんですかね…

金田と鉄雄

金田はバイクチームのリーダーで、仲間から非常に頼りにされている存在。鉄雄はというと最初の印象はやや大人しそうな雰囲気をしている。タカシにバイクを爆発させられるまで、それほど人物説明がなされない状態だったので、鉄雄の存在はが重要そうには見えません(1巻のサブタイトルが鉄雄でなければ)。

タカシと接触したことでナンバーズの才能を得た鉄雄。ちょっと興奮気味な精神状態になり、バイクチームへの復帰時から今までのコンプレックスが噴出するようになっていて、金田に挑発的な態度をとってきます。

どうやら鉄雄と金田は小さいころから一緒にいたようで、ずっとリーダーの金田に対し劣等感を抱いていた模様。そのコンプレックスから能力で支配したい欲求と、銃口を向けても金田は自分を撃てないという自信、金田に撃たれて狼狽える様子のアンバランスさ。

最後、強力なカプセルを飲んで心臓が止まったかのように見えたものの、すっかり覚醒し、さらに自信をつける鉄雄。2巻以降はアーミーと手を組んでいくようですが、金田と鉄雄の決着のつき方が最後のクライマックスになるんでしょうね。

で、アキラどこいった?

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