『ダニエル・カーネマン、心理と経済を語る』の書評とサクッと要約|満足度を決めるのは状態ではなく変化

ダニエル・カーネマン、心理と経済を語る ビジネス
ダニエル・カーネマン、心理と経済を語る

「行動経済学」って耳にしますね。ダニエル・カーネマンはその第一人者にして、創始者とされる人。

ダニエル・カーネマンは、それまで一般の方向けに著した本がなく、氏のなかでもキーになるものと分かりやすい論文を取り上げたようです。この本が刊行された翌年に『ファスト&スロー』が書かれていますが、まあなんと読むのがつらいこと…帯に東大生に一番読まれた本とあったのですが、東大生すごいですね。あの本、眠くなりますから…

この本も分かりやすいものをピックアップしたということらしいのですが、ま~難解!一番最後のU指数なんか簡単そうなんだけど、手元で計算しても全然合わない。アクティブ・ブック・ダイアローグ®(ABD)という読書法で複数人で手分けして読んだのですが、論文はまず言葉が難しいので咀嚼しきれないんですよね(^^;

ただ、前半の講演の「限定合理性の地図」というのは比較的分かりやすく、なるほどが多いです。簡単に言うと、従来の経済学は、人間が最適を求めようとするなら常に合理的に選択するという前提というもの。行動経済学はそうじゃないよね、人間の認識には限界があるからその選択は限定されるよね、というもの。

うーん、書いていて伝わるかは謎です…以下、参考になれば幸いです。

本の概要と要約

『ダニエル・カーネマン、心理と経済を語る』の要約
『ダニエル・カーネマン、心理と経済を語る』の問題提起

何を?
行動経済学を研究するダニエル・カーネマンの講演、自伝、論文のなかから、分かりやすいものを。

誰に?
経済学に関心を抱く、一般の人。

なぜ?
・ダニエル・カーネマンが語る一般向けの本がないので、ダニエル・カーネマンの論を知る機会がない
・行動経済学=人間の非合理性という誤った認識が蔓延している

『ダニエル・カーネマン、心理と経済を語る』の要約
『ダニエル・カーネマン、心理と経済を語る』の要約

内容は?
・プロスペクト理論
 ー満足度を決めるのは状態ではなく変化である。例えば、資産の話。
  Aさんは400万円から300万円に資産を減らした
  Bさんは100万円から110万円に資産を増やした
 ーAさんは資産を減らしたとはいえ、Bさんよりも遥かに資産が多いのだが、果たしてどちらが幸福化と言うと、Bさんの方が満足度が高くなる。
・足し算より平均
 -冷水に手を入れる実験で、もう1回やるならどちら?
  ①60秒間14℃につける場合
  ②60秒間14℃につけ、そのあと30秒間15℃につける場合
 -合理的に考えれば①だが、多くの被験者が②と答える。
・感情と状態によって判断を誤る
 -空腹だと買いすぎる
 -『シンドラーのリスト』を観たいと思うが、いつか観ると思っているだけで、つい『めぐり逢えたら』を観てしまう
・状況での判断ミス
 -家電量販ではいろいろな商品を目で見て触って比較ができる。家では個別に評価するしかない。
・過去の経験に引っ張られる
 -記憶によって偏ったバイアスがかかる
・錯覚
 -暖かいA地方と厳冬が続くB地方でどちらが幸福度が高いかという予測を、気温という論点だけで考えてしまいAのほうが幸福だろうと判断してしまう。
・個人によって満足度の解釈が異なる
 -10点満点で何かを評価するアンケートがあったとき、Aさんは0点もつけるし10点もつける。
 -でもBさんは4~8点の間でしか点をつけない。
 -こうしたときに果たして平均や中央値を求めることに意味があるのか。
 -その問題を解決するのがU指数。U指数については、さきほどリンクを貼ったnoteをご覧ください

著者

著者はダニエル・カーネマン。なのですが、この本自体はダニエルカーネマン原著のものを集めて編集されたものです。

恥ずかしながらダニエル・カーネマン、存じ上げなかったのですが、『ファスト&スロー』が代表的な著書で、これは未読ですが知っておりました。そしてノーベル経済学賞も受賞。行動経済学の領域です。

なお、訳したのは友野典男氏。明治大学大学院教授で、行動経済学とミクロ経済学を専攻されているそうです。ダニエル・カーネマンの『ファスト&スロー』では解説をされてます。

解説と感想

知覚の特性、変化と平均

知覚の特性として挙げられる1つ目が「状態より変化」。
カーネマンがこれまでの考え方として引き合いに出しているのが「ベルヌーイの期待効用理論」です。これは期待される「結果」に基づいて選択を判断されるものですが、カーネマンの理論「プロスペクト理論」では違います。人と言うのは、「損をする」という場面に直面すると、リスクを追求してしまうらしいです。一方で「得する」場合は、リスクを回避する傾向にあるというんです。

これ経験ありますよね。みなさん、宝くじは買ったことありますか?
あんなもの、期待される効果なんてうっすいのに、つい買っちゃうわけです。3000円買えばようやく100%の確立で300円だけ返ってきます。損してることに気づきましょう!でも、1億円当たったら…とつい夢を見てしまうんですよね。

株式売買をやっている方、いらっしゃますか?
持っている株が取得価額から20%下がりました。売りますか?塩漬けですか?それともナンピンですか?
持っている株が20%上がりました。売りますか?ステイですか?それとも買い増しますか?

素人が株で失敗するわけです…

知覚の特性の2つ目が、「合計より平均」。
冷水に手を入れる実験の話が合ったのですが、皆さんは次の2つのうち、もしもう1回やれと言われたらどっちをやりますか?

A:14℃の冷水に60秒
B:14℃の冷水に60秒+15℃の水に30秒

Bを選ぶ人の方が多いんだそうです。上の選択肢だけ見ると、圧倒的にAのはずなんですけどね。Aのほうが痛みのピークで終わり、BのほうはAに加えて15秒長く冷水に手を入れているのに緩和された状態で終わるだけなんですけど。知覚って不思議。

人間は選択するときエラーを起こす

人ってどんな時も一番いい選択すると思いますよね。
結果、してないですよね…。それは様々なエラーをきたしているからだそうです。

みなさん、何かに感銘を受けてAmazonで本であったり動画作品を買おうと思ったとします。ですがどうでしょう。気が付けばあなたが見ているのはバチェラーだった…(古いか)。

カーネマンが書いている例では、『シンドラーのリスト』を観ようと思っても、「今日じゃなくていいか」と、別の作品をつい借りてしまう。あるあるですよね。

そのほかにも、「昔はよかった~」などの過去のバイアス、論点を絞ってしまうことによる錯覚など、人の選択をミスらせる話がてんこ盛りです。

私のnoteでもアクティブ・ブック・ダイアローグ®で読んだものをもう少し詳しく掲載してますのでご覧ください。

【実践】アクティブ・ブック・ダイアローグ®(ABD)『ダニエル・カーネマン 心理と経済を語る』(要約あり)|satoru shoji|note
 仕事で「顧客満足度」についての知識を広げるため、大学で研究している方にヒアリングをする機会が増えています。そんななか。ある先生に「この本は読んでおいたほうがいいですよ」と諭されるように教えて頂いたのが、今回の本『ダニエル・カーネマン 心理と経済を語る』でした。  「ダニエル・カーネマン?」と首を傾げましたが、なる...

本の目次

ダニエル・カーネマン、心理と経済を語るのABD後
  • 第1章 ノーベル賞祈念講演 限定合理性の地図
  • 第2章 自伝
  • 第3章 効用最大化と経験効用
  • 第4章 主観的な満足の測定に関する進展

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