『わけあって絶滅しました。』の書評とサクッと要約|生き残るって難しい

わけあって絶滅しました Amazonほしい物リスト2020
わけあって絶滅しました。(丸山 貴史 )

『わけあって絶滅しました。』は、イラストや言葉は優しく書かれているけど、なかなか人間のエゴと影響力、行き過ぎた行動と言うのを考えさせられる本でした。かわいらしいという評価はあるものの、結構最初からエグイ話…

最初に解説されているのは、ステラーカイギュウという巨大な海獣。ベーリング海に棲息していた8メートルほどのジュゴンの仲間。

動きが遅く、人間に全く警戒心を持たず、また仲間が攻撃されると逃げずに集団で守ろうとする性質があったために、簡単に狩られてしまったそうです。図鑑の中では、かわいらしく書いてありますが、調べてみるとかなり残酷な様相をていしています。

ステラーカイギュウは、人間に攻撃されてもうずくまるだけで逃げず、ただ攻撃されるのみ。身体が大きく引き上げが難しいため、絶命したあと放っておいて打ち上げられるのを待つのだとか。
当然、打ち上げられない個体もいるので、彼らはただいたずらに命を絶たれただけ。

モーリシャス島にいたドードーも天敵がいない環境で大型化したため、人間に警戒せずあっさり狩られ、卵を産んでも人間の上陸によって持ち込まれたネズミや犬といった哺乳類に食べられてしまうことに。

ほかにも人間のもたらした絶滅は多い。

「キツネにおそわれて絶滅」したオーストラリアのブタアシバンディクートは、直接的にはキツネですが、キツネを持ち込んだのは人間。狩りを楽しむためにウサギやキツネを放ったために、草が減少し、キツネの餌となってしまった。このように人間が直接手を下さなくても、人間が持ち込んだものによって生態系が崩されることもあるようです。

と、人間による絶滅が多いという風に書いてきましたが、生命全体でいえば、人間による絶滅は圧倒的に少ないもの。過去に複数回あった環境変化による大絶滅は、そのときの種の70~90%が絶滅しています。

この本からは、大きな流れとしての地球の歴史と、地球の環境変化による生態系の変化が分かりやすく学べます。

そしてもうひとつ、人間の手が地球全体を覆っている現代の、人間の手によって引き起こされる絶滅を通して、私たちの行動ひとつひとつの意味を問いかけられるような気がします。人間は生き物を絶滅させることもありますが、かつてないほど繁栄させる行動もとっています(『サピエンス全史』の家畜の話に詳しい)。人間の手によって繁栄する家畜はどうなのかという問題もあったりするわけですが、食の必要性もありとても難しい問題ですね…

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本の概要と要約

『わけあって絶滅しました。』の問題提起
『わけあって絶滅しました。』の問題提起

著者の課題
絶滅は自然の仕組みのひとつだが、人間による絶滅は次の進化をもたらさない。

解決方法
いろいろな動物の絶滅した理由にひとつとして同じ理由はない。この機会に違いを考えてみる

『わけあって絶滅しました。』の要約
生き物の歴史は繁栄と絶滅の歴史
『わけあって絶滅しました』の要約
絶滅のわけは?

内容
・生き物の歴史は繁栄と絶滅の歴史である

・絶滅の理由トップ3
  1位、理不尽な環境変化
  2位、イバルの出現
  3位、人間のせい
・3度の大絶滅
  ①スーパープルーム
   95%絶滅、海水温度上昇
  ②地球規模の火山噴火
   80%絶滅、気温上昇
  ③巨大隕石の衝突
   70%絶滅、気温情報
 さらに感想により森林が減少し草原化…など

・地球全体は椅子取りゲーム
 -空席ができると他の生き物が増えるチャンス
 -恐竜が絶滅すると哺乳類の時代に

・環境変化による絶滅ピックアップ
 -マンモス
  雪によって植物が育たなくなり食糧難
 -メガネウラ
  陸上生物が増加して酸素不足

・ライバル出現による絶滅ピックアップ
 -メガロドン
  水温が下がり動きが鈍くなりシャチに襲われる

・人間のせいによる絶滅ピックアップ
 -ステラーカイギュウ
  全然逃げず乱獲。発見から27年で絶滅
 -ジャイアントモア
  石を飲むクセがあり、
  人間が厚い意思を用意して飲ませ狩られる

『わけあって絶滅しました。』とは?

『わけあって絶滅しました。』は、「世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑」シリーズ最初の第一弾シリーズ累計で80万部を突破しているベストセラー。収録されている「いきもの」は、絶滅したいきもの60種、絶滅しそうだけけど生き残っているいきもの10種。

シリーズに『続 わけあって絶滅しました。』『も~っと わけあって絶滅しました。』があります。

監修は今泉忠明(いまいずみ・ただあき)さん。東京水産大学を卒業。国立科学博物館で哺乳類の分類学、生態学を学ぶ文部省(現文部科学省)の国際生物学事業計画(IBP)調査、環境庁(現環境省)のイリオモテヤマネコの生態調査等に参加する。上野動物園の動物解説員を経て、東京動物園協会評議員。主な著書に『野生ネコの百科』『動物行動学入門』『猫は不思議』。

著者というか編集者?は丸山貴史(まるやま・たかし)さん。動物ライター、図鑑制作者。ネイチャー・プロ編集室勤務を経て、ネゲブ砂漠にてハイラックスの調査に従事。本シリーズの前に発売された『残念ないきもの事典』も大ヒット。

本の解説と感想

生き物の歴史は繁栄と絶滅の歴史である

生き物が絶滅する理由は大きく二つに大別されます。

①地球のせい(環境の著しい変化)
②他の生き物のせい

過去に大規模な火山、隕石などによって温暖化や寒冷化は、生き物がどうがんばっても生き残れない状況を生みだしました。過去の地球の歴史で起きた5つの大絶滅をビッグファイブというそうです。

それぞれ環境に適して繁栄したものの、適さなくなった。ただそれだけのことなのですが、そのときに存在する生き物の90%が絶滅するなど影響は計り知れません。

一方で、絶滅する種もあれば反映する種もあります。変化した環境に耐えられた生き物たちは次の時代で進化していきます。哺乳類が繁栄したのも、巨大な恐竜たちがいなくなり、繁殖のサイクルが短いために「数」でなんとかなったと言えそうです。繁殖のサイクルが短い、例えば1回に1体しか生み出せない、お腹にいる時間が長い場合、他の生き物の狩りの対象になったりすると大変です。

問題は人間による絶滅。ほとんどの場合がエゴによって発生しており、次の進化をもたらしません。人間も地球の進化の中の産物とすれば地球の環境変化による絶滅とも言えますが、どうなんでしょうか。

絶滅のわけ

図鑑だけあって、要約するとネタバレになってしまうので、いくつかきになった絶滅したいきものをピックアップしたいと思います。

マンモス

マンモスはわたしたちにとって馴染みのある巨大哺乳類。永久凍土から発見された当時の状態を保持したまま個体のインパクトなのでしょうか。ヒトの狩猟対象であったという説もあり、私たちにとって絶滅した古代生物との関わりを想像させるものです。

マンモスの主食はイネ科の草木。しかし気候変動によって地球が温暖化すると、マンモスの棲息圏は湿潤化してしまい、雪が降り積もるようになったために食料が激減したことがマンモス絶滅の要因だそうです。

気候変動というのは地球規模の話。現代の地球はまさに急激な気候変動の様相を呈していて、警鐘がならされています。最近代表的なものは『人新世の「資本論」』でしょうか。資本主義がもたらす気候変動について書かれています。

メガネウラ

メガネウラは巨大なトンボです!史上最大の昆虫ともいわれるらしい。昆虫は肺がないので、体の側面に空いた穴から直接酸素を取り込むそうです。これが絶滅の要因。

体が大きいと、そのぶん大量の酸素を必要とします。ところが地上の酸素濃度がどんどん下がっていったことで、メガネウラは耐えきれなくなったのだとか。

本書では、酸素濃度が下がった理由を「陸上に動物が増えたから」としていますが、火山活動で二酸化炭素やメタンが大量に放出されたことを原因とする説もあるようです。

メガロドン

サメも多くの人を魅了(恐怖?)する「いきもの」です。メガロドンはホホジロザメの3倍、12メートルの大きさをもつ巨ザメ。

メガロドンも気候変動によって絶滅に向かいました。メガロドンはクジラを餌にしているくらい海の覇者だったようですが、寒冷化していくと動きが鈍くなっていきます。サメは変温動物であり、クジラは恒温動物。サメは低温の環境に適応できないのに対し、クジラは低温に対応できるため、生態的な変化が発生します。

クジラは冷たい海にどんどん逃げ、またシャチから逆襲される状態になり、冷たい海で動きの遅くなったメガロドンは個体を減らしていった模様。

環境の変化にはあらがえない…

ジャイアントモア

冒頭のステラーカイギュウにも通じる、人間による絶滅。ジャイアントモアのケースもなかなか人間の残酷さが垣間見えるものになっています。

ジャイアントモアは200kgを超える巨大な鳥で、人が肉のために狩猟し、9~10世紀ころに絶滅しました。ジャイアントモアは石を食べる習性があったらしく、人間はそこに目をつけます。熱い石を食べさせることで狩っていたそうなのです。

1000年以上前の話ですし、弱肉強食とはいえ知恵の働くホモ・サピエンスならではの狩りになかなか驚きます…

ティラノサウルス

男の子の憧れ、ティラノサウルスはどうしようもない災厄(?)によって絶滅します。隕石です。ティラノサウルスだけではなく、この時代の恐竜はことごとく絶滅します。

隕石がもたらしたものは、300mの津波。それはなんとか耐えたらしい(マジか!)のですが、砂が舞い上がり地球を覆いつくします。これによって寒冷化に向かいます。寒冷化がもたらしたのは、まず植物の減少。寒い中で植物が育たなくなります。その次に植物を食べていた草食動物の減少。そのあとに草食動物を食べていた肉食の恐竜たちが減少するという流れ。

本の目次

  1. 油断して、絶滅
    • やさしすぎて絶滅 ステラーカイギュウさん
    • のろますぎて絶滅 ドードーさん
    • パンダに負けて絶滅 ギガントピテクスさん
    • イカ不足で絶滅 魚竜さん
    • ヤギが大食いで絶滅 オガサワラマシコさん
    • 川から出られなくて絶滅 スピノサウルスさん
    • 食事が鈍くて絶滅 アースロプレウラさん
    • 1匹のネコに狩りつくされて絶滅 スティーブンイワサザイさん
    • 石を飲んで絶滅 ジャイアントモアさん
    • プニプニすぎて絶滅 ディッキンソニアさん
    • キツネに襲われて絶滅 ブタアシバンディクートさん
    • イヌに病気をうつされて絶滅 ニホンオオカミさん
    • イヌのぬれぎぬで絶滅 袋オオカミさん
    • 卵を守りきれずに絶滅 ディアトリマさん
    • 無敵すぎて絶滅 メガテリウムさん
  2. やりすぎて、絶滅
    • アゴが重すぎて絶滅 プラティベロドンさん
    • 歯がぬけなくて絶滅 ヘリコプリオンさん
    • 数が多すぎて絶滅 リョコウバトさん
    • まっすぐすぎて絶滅 カメロケラスさん
    • こんがらがって絶滅 ニッポニテスさん
    • 美しすぎて絶滅 ブルーバックさん
    • デコりすぎて絶滅 オパビニアさん
    • ウマに恋して絶滅 ターパンさん
    • 角に栄養をとられて絶滅 オオツノジカさん
    • くちばしが特殊すぎて絶滅 ユミハシハワイミツスイさん
    • 息ができなくて絶滅 メガネウラさん
    • 頭が悪くて絶滅 ティラコスミルスさん
    • 暑さにも寒さにも弱くて絶滅 ティタノボアさん
    • 角が豪華すぎて絶滅 ジョンブルクジカさん
    • 背中の帆がじゃまで絶滅 ディメトロドンさん
    • 首が長すぎて絶滅 メマンチサウルスさん
  3. 不器用で、絶滅
    • ちゃんと飛べなくて絶滅 シソチョウさん
    • 筋肉ムキムキで絶滅 スミロドンさん
    • 想像力が足りなくて絶滅 ネアンデルタール人さん
    • クジラの逆襲で絶滅 メガロドンさん
    • 歯が弱くて絶滅 アノマロカリスさん
    • 大食いで絶滅 パラケラテリウムさん
    • 酸素がたりなくて絶滅 ダンクルオステウスさん
    • 風が吹かなくなって絶滅 アルゲンタビスさん
    • 中途半端で絶滅 パキケトゥスさん
    • クジラが南極に泳いできて絶滅 ジャイアントペンギンさん
    • 草を食べたら絶滅 シバテリウムさん
    • 干からびて絶滅 マストドンサウルスさん
    • やみくもに上陸して絶滅 イクチオステガさん
  4. 不運にも、絶滅
    • 隕石が落ちて絶滅 ティラノサウルスさん
    • 島が沈没して絶滅 オオウミガラスさん
    • 川がにごって絶滅 ヨウスコウカワイルカさん
    • カタツムリの紛争で絶滅 ポリネシアアイマイさん
    • マグマ地獄で絶滅 ウミサソリさん
    • エベレストが高くなって絶滅 アンドリューサウルスさん
    • 寒さからのがれられなくて絶滅 マチカネワニさん
    • 水がお湯になって絶滅 コノドント動物さん
    • 雪が降って絶滅 ケナガマンモスさん
    • ハリケーンに飛ばされて絶滅 ミイロコンゴウインコさん
    • 笑いすぎて絶滅 ワライフクロウさん
    • 魚にねらわれて絶滅 三葉虫さん
    • 砂漠に取り残されて絶滅 アルシノイテリウムさん
    • 好奇心で食べられて絶滅 グアムオオコウモリさん
    • 花が咲いて絶滅 ステゴサウルスさん
  5. 絶滅しそうで、してない
    • 水にもぐって助かった カモノハシさん
    • 山にのぼって助かった ライチョウさん
    • 森に引きこもって助かった コビトカバさん
    • こっそり長生きしていて助かった ムカシトカゲさん
    • やる気がなくて助かった オウムガイさん
    • 流木で海をわたって助かった ロードハウナナフシさん
    • 深海に迷いこんで助かった シーラカンスさん
    • 進化が遅くて助かった オポッサムさん
    • 気づいたら別の場所にいて助かった クニマスさん
    • まゆにこもって助かった ハイギョさん

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