『宇宙に命はあるのか 人類が旅した一千億分の八』の書評とサクッと要約|宇宙に惹かれる「何か」の変遷を辿る

宇宙に命はあるのか 科学
宇宙に命はあるのか 人類が旅した一千億分の八(小野雅裕 著)

宇宙を想像すると、ワクワクしますよね。宇宙に引き込まれる「何か」というのは、間違いなくあり、宇宙開発というのはとどのつまり、その「何か」によって脈々と引き継がれている…というのがこの本のテーマ。

この本、なぜ手に取ったのか実はあんまり覚えていないんですよね。たぶん『宇宙兄弟』の絵が表紙だったのが一番の理由なんだろうけど、パラっと眺めてみて「人間がなぜ宇宙に行こうとするのか」そもそも「なんで宇宙について考えるとワクワクするのか」という疑問を問いにおいていて、それに共感するところがあったんだろうと思います。僕も宇宙の「何か」に巻き込まれたのかもしれません。

内容はというと、以前にまとめた『フェルマーの最終定理』のようなドキュメンタリーを読んでいるような感覚。宇宙開発の歴史と、人から人に伝染する宇宙への憧れに浪漫を感じて引き込まれていきます

なので、ヒューマンドラマ的な要素もあり、妄想もあり、宇宙開発がどのような歴史をたどってきたのかもなぞれてしまうお得な内容になっています。

宇宙は、人類にとってはめちゃくちゃ膨大で時間をかけている投資です。宇宙に行って科学実験なども行って成果も出ていますが、それまでの膨大な開発費を回収できたかといえばとてもとても…というくらい人類は宇宙にお金と時間を費やしている。アポロ計画なんかはソ連との冷戦が影響して、やや過熱気味に宇宙へ行こうとしていたわけなので、国家の威信をかけた投資なわけです。

そういえば映画の『ファーストマン』もぜひ見て欲しいです!でこの本で出てきたハミルトンという女性が内緒で仕込んだというプログラムが起動するシーンがあるんですよ。それを観た時に「うわ!」と感動しますね。間違いなく。ぜひ、読んでから、映画見てください!

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本の概要と要約

『宇宙に命はあるのか』
宇宙に憧れる「何か」を探る

本の問いかけ

・想像してみよう
 -火星の赤い大地に立つこと
 -宇宙船の窓から木星の渦を見ること
 -「何か」がおののくを感じなかっただろうか
 -人はその「何か」に取り憑かれ宇宙を探る

・人類が旅した1千億分の8
 -人類が着陸した星はたった1つ
 -近くを通り過ぎて観測したのも含めて8つの星しか知らない

『宇宙に命はあるのか』の要約
宇宙の何かは人から人へ伝染
『宇宙に命はあるのか』の要約
私たちはひとりぼっちなのか?

内容
・何かは人から人へ伝染している

・ジュール・ベルヌ
 -SFの父、空想科学小説
 -『地球から月へ』を出版
 -ロケットの父に影響を与える
  -ツォルコフスキー
  -コダート(液体燃料ロケット)
  -オーベルト(論文認められず本で世に出す)

・フォン・ブラウン(ドイツ→アメリカ)
 -オーベルトに影響受け、宇宙へ憧れ
 -ナチスドイツのヒトラーと結びつく
  -ヒトラーは兵器として
  -フォンブラウンは宇宙開発のため
  -二人の悪魔の契約
 -戦後はアメリカに情報提供
 -NASAの宇宙センターの所長に

・セルゲイ・コロリョフ(ロシア)
 -アメリカと冷戦、宇宙開発で競争
 -初の人工衛星スプートニク1号
 -R7ロケットで有人飛行
  -ガガーリン「地球は青かった」

・NASA
 -アポロ8号で月探査
 -アポロ11号で月面着陸
  -ジョンハウボルト
   -月面着陸するための常識を打ち破る
   -月軌道ランデブーモードの提案
  -ハミルトン
   -エラー回避プログラムを仕込む
   -実際に作動し無事に月面着陸

・惑星探査
 -カール・セーガン
  -地球の偉大なる降格
  -地球だけが特別ではないという考え方
 -マリナー号
  -火星のフライバイ
  -22枚の写真を地球に送信
 -ボイジャー号
  -木星、土星、天王星、海王星まで
  -予算削減で土星までだった
  -エンジニアが余力を残していて土星を超えて調査続行を実現

・我々は何者なのか?、どこから来たのか?、ひとりぼっちなのか?
 -分からないから探す。宇宙のどこかにある生命を

・何をすればいい?
 -生命の組立説明書DNAを探す
 -火星のサンプルリターン
 -木星のエウロパの公理の下の海の調査

・宇宙探査の課題
 ①生物汚染
  -地球から持ち込んだ生物による汚染
 ②イーロンマスクの移住計画
  -急いでやると重要な何かを破壊してしまうのでは

・いまだに人類は地球外文明に遭遇していない
 -我々は短気なだけ
 -銀河文明の一員に加えられた人類はその何万年後かに新たなメンバーを迎える立場になるだろう

著者:小野雅裕とは

NASAの中核研究機関であるJPL(Jet Propulsion Laboratory)で、火星探査ロボットの開発をリードしている。1982年大阪生まれ、東京育ち。2005年東京大学工学部航空宇宙工学科を卒業し、同年9月よりマサチューセッツ工科大学(MIT)航空宇宙工学科修士課程に留学。2012年に同博士課程およびMIT技術政策プログラム修士課程修了。2012年4月より2013年3月まで慶應義塾大学理工学部の助教として学生を指導する傍ら、航空宇宙とスマートグリッドの制御を研究。

●インタビュー記事
火星の秘密。NASAの「巨大プロジェクト」が動き出している(NewsPicks 2020.08.27)
「何十年経っても読まれるものを書きたかった」―小野雅裕さんブクログ大賞記念受賞記念インタビュー前編(ブクログ通信 2019.02.01)

●SNS
Twitter:Hiro Ono / 小野雅裕 @masahiro_ono

本の解説と感想(レビュー)

SFの父・ジュール・ベルヌ

ジュール・ベルヌはこんな言葉を残したと言われている。「人が想像できることは全て実現できる。

『宇宙に命はあるのか 人類が旅した一千億分の八』p66

上記のようなことは、テクノロジー系の話ではよく言われています。『2030年 すべてが「加速」する世界に備えよ』でもありましたけど、かつて空想だった空飛ぶ車も、実現が近づいています。XR系の話も、2021年にfacebookが本気でプラットフォーム化に取り組むことを意思決定したので、もうこの2025年までには決着が尽きそうですし。こうした想像があることによって、どうアプローチするかという話になるのでテクノロジーの組み合わせや演算処理の速度向上などによって実現できるようになってきます。(ただ想像していた姿とは違うようなものは多々ありますが…)

資本が集まるところには集まりやすくなっている昨今、イノベーションを1番阻害する要因はモラルなのかもしれません。その点は次のフォン・ブラウン項目に譲ります

魔法の世界から科学力で冒険するという世界観、いわゆる空想科学小説は、ジュール・ヴェルヌの『気球に乗って5週間』という小説に帰着しました。魔法の力でドラゴンを倒すのではなく、科学の力で困難に立ち向かうというものです。ちょうどこのころは産業革命から科学技術という威力を体感した層に大変支持されたそうです。その後も『海底二万マイル』や『八十日間世界一周』『地底旅行』などヒット作を生み、そして『地球から月へ(月地球旅行)』はベストセラーとなって、その後の宇宙開発の先駆者に影響を与えていきます。

本書では3人の名前が挙がっています。コンスタンチン・ツィオルコフスキー(ロシア)、ロバート・ゴダード(アメリカ)、ヘルマン・オーベルト(オーストリア・ハンガリー)の3人で、ロケットの父と呼ばれる研究者たちです。

「ロケットの父」とはいっても、発明したのは彼らでなく、すでに13世紀の中国では兵器として用いられていたそうです。彼らの功績は、「宇宙に行くための技術がロケットであると気が付いたこと」「ロケットを宇宙を飛ぶ乗り物に生まれ変わらせたこと」だそうです。

ツィオルコフスキー以外は詳しく書かれていたので、簡単にまとめてみます。

●ゴダード
世界初の液体燃料ロケットを開発。離陸した後、2.5秒間飛行し、隣のキャベツ畑に墜落したとのこと。到達高度はたったの12メートルでしたが、人類の宇宙への旅の記念すべき第一歩に。

●オーベルト
宇宙飛行をテーマにした論文を書いたそうですが、教授たちに受け入れられなくて大学を去ったそうです。のちに本として出版したその内容は、ロケットの原理や月着陸の方法、小惑星探査などが書かれていたそうです。

彼らには批判が付きまといます。宇宙へ行くというのは当時のほとんどの人にとって、実現不可能なこと。ニューヨークタイムズでも批判の記事が出て、莫大な研究費を出すことへの批判や、研究者に対して変人、狂人と決めつけるようなものだったそうです。

ですが、かれらの功績は次なる「何か」の受けてへと引き継がれます。

フォン・ブラウン

現実という汚泥の中に恐れず手を突っ込みつつも、夢は一切汚さず純粋なままで持ち続けること。それが夢を叶えるための条件なのかもしれない。

『宇宙に命はあるのか 人類が旅した一千億分の八』p31-32

フォン・ブラウンというとガンダムしか思い浮かびません… 機動戦士ガンダムでは月の都市の名前になっていて、これを考えたのが富野監督なのかオシャレな名前付けるなーという印象を持ちました。

フォン・ブラウン博士は、人類を宇宙へ導いた最大の立役者として紹介されています。ロケット開発にはとにかくお金と時間がかかる。それをヒトラーという悪魔と契約することで実現することになるんです。

さきほどジュールベルヌのところで触れましたが、現代におけるイノベーションの阻害要因のひとつがモラルだろうと書きました。というのも、テクノロジーの進化にはお金と科学の進歩が不可欠。その2つの条件を容易くクリアするのが戦争でした。国家施策として取り組めば潤沢な予算がつき、技術者が研究だけに没頭でき、さらに重要なのは一人の命より多数の命と未来という考え方。もちろん命は大事だけど、自国の場合なら今と比べて英雄的に語られたり、捕虜には人権もなにもない価値観があったわけです。

ヒトラーは、フォン・ブラウンの若さと知識、プレゼンテーション力に魅入られ投資し(なんとフォン・ブラウンが捕まっても釈放させた)、フォン・ブラウン博士は「何か」に取り憑かれように、したたかに宇宙開発を続けます。戦争の道具になると分かっていてロケット開発をするために、ヒトラーと契約したものの、戦争が終わることを見越しノウハウを簡単には渡さないように隠し、その後はアメリカとの交渉で情報と人材を渡しながら、NASAで主要人物としても迎えられます。

セルゲイ・コロリョフ

もう一つだけ、お見せしたいものがあります。(中略)これは人工衛星です。

『宇宙に命はあるのか 人類が旅した一千億分の八』p53

本書では出自がいまいち分からなかったのですが、終戦後にソ連が見出したもうひとりのファウスト博士が、セルゲイ・コロリョフ。ロケット開発はアメリカとソ連の冷戦と同時に、科学者同士の競争でもあったわけですね。初戦が宇宙へものを届けるものであるなら、ソ連に軍配があがりました。それを成し遂げたのが、独裁国家であったソ連がアメリカとの空の支配権を巡って国家規模でロケット開発を推進した野望と、セルゲイ・コロリョフという科学者でした。

スプートニク1号と呼ばれた人工衛星は、バレーボールほどの大きさ。1951年にロケットに積まれ打ち上げられます。ジュール・ヴェルヌの『地球から月へ』から92年後に、ついに地球から脱した人類文明の幼年期が終わったのです。スプートニクの成功は世界を震撼させました。世界中のラジオでスプートニクが発信する音が聴けたそうです。当然ながら、アメリカは脅威を感じます。

その後、フォン・ブラウンがアメリカ初の人工衛星、エクスプローラー15の打ち上げに成功します。この成功から半年後、アメリカはNASAを発足させたました。

ソ連の成功はまだ続きます。スプートニクからわずか4年後の1961年、世界初の宇宙飛行士ガガーリンがコロリョフのR7ロケットに乗って宇宙へと旅立ち、「地球は青かった」という詩的な言葉を持ち帰ります。米ソの競争は激化します。その3週間後アメリカ初の宇宙飛行士アラン・シェパードがフォン・ブラウンのレッドストーンロケットで宇宙へのサブオービタル飛行を行ったのです。

その後、1968年にはアポロ8号が月軌道から月面を間近に観察し太平洋に帰還します。『地球から月へ』の世界が100年の時を超えて現実のものとなりました。

アポロ計画

「ジョン、ありがとう」(フォン・ブラン)

『宇宙に命はあるのか 人類が旅した一千億分の八』p104

ところで、ムーンショットという言葉をご存知でしょうか。最近は日本の内閣府が科学技術の目標として掲げている計画があったりしますが、もともとNASAが月面着陸するアポロ計画を立ち上げたように、壮大な目標を掲げるというところから来ている言葉です。

宇宙開発は冷戦のプロパガンダとして飛躍します。しかし、フォン・ブラウンやコロリョフからすれば、プロパガンダに利用されたのではなく、この環境を利用し自分の夢を実現したとも言えます。ムーンショットはこうした利害から達成されたのでしょう。

さて、第2章は月面着陸の話です。この章がこの本で1番熱いとこです。ジョン・ハウボルトと、マーガレット・ハミルトンという無名の二人が主人公。無名のというところが大事なのですが、宇宙開発で取りざたされるのはやはり宇宙飛行士とトップの人たち。しかしアポロ計画には40万人の人たちが関わっていたのだそうです。アポロが成功を成し遂げるには、この二人の行動がなくてはなりませんでした。きっと、この二人以外にもこっそりと何かを仕込んだ、機転を利かせた人たちがいるんでしょう。

●ジョン・ハウボルト(ジョン・フーボルト)
ハウボルトは月着陸の方法について、上層部に異を唱え、それを徐々に多数派にしていきました。それが月軌道ランデブーモードです。この頃フォン・ブラウンはNASAでの主導権争いの中にいて、地球軌道ランデブーモードを推進する立場にありました。月軌道ランデブーになる場合、フォン・ブランの基地の役割が小さくなることからの政治的な理由もあったようです。最終的にはフォン・ブラウンもハウボルトのプレゼンに折れました。

●マーガレット・ハミルトン
アポロ11号の月着陸のとき、甲高い警報音がヘルメットの中に響きました。アラームのコードは「1202」。ハミルトンは、もし万が一何らかの原因でコンピューターがフリーズしそうになったらプログラムを一度全て終了し宇宙飛行士の生死に関わる重要なプログラムだけを再起動させるソフトウェアを忍び込ませた。このソフトが起動するアラートが1202でした。ハミルトンの直接の担当は宇宙飛行士がエラーしたときに退避するプログラム。ミッション前には宇宙飛行士が間違いを起こすことはないと信じられ、プログラムは不要と言われるなど不遇でした。しかし、宇宙飛行士も完ぺきではないということと、自分たちプログラマーも完ぺきではないと考え、仕込んだのだそうです。実際にプログラムは起動し、ハミルトンらの連携で月面着陸は継続されました。

フォン・ブラウンは、月面着陸が一つの夢でした。だからかれらはフォン・ブラウンにとって感謝を示す対象だったんですね。

火星から冥王星まで

地動説がなかなか世に受け入れられなかった理由は、それが神の作りし地の決定的な「降格」を意味するからだった。地球の降格はまた、人類の無知の克服の過程でもあったカールセーガンが「偉大なる降格」と呼んだ所以である

『宇宙に命はあるのか 人類が旅した一千億分の八』p119-120

月に到達した人類の次なる目標は火星。そして太陽系の枠外まで向かおうとします。人類の次の興味は「宇宙に命はあるのか」です。SFの父、ジュール・ヴェルヌ以降、多数のSF作家が世に出ていて、ウエルズの『宇宙戦争』もまたこの一つ。凧形の火星人のやつです。

1960年代には、人類は惑星探査機を送り出します。マリナー4号では史上初のデジタルカメラが活躍し、火星の姿を22枚の写真におさめます。フライバイという惑星を高速で通過するわずかな瞬間に写真をとる方法です。これ、めちゃくちゃ時間がかかっていたそうです。数日後写真が届きだした6ビットからなる1ピクセルを受信するのに1秒弱かかる200かける200ピクセルの写真1枚だけで8時間。

結果的に映し出したのは宇宙人の姿ではなく、月と同じようなクレーターの地表。地球はやはり宇宙での特別な存在なのか。著者は詩的な言葉でつづっています。

だが新たな宇宙観は天動説のそれとは異なっていた。地球は全宇宙の星々を従える皇帝ではなく、累々たる屍の山にただ一人取り残された兵士だった。探査機の先駆者・マリナー2号と4号が発見したのは、地球の絶望的な孤独だったのである

『宇宙に命はあるのか 人類が旅した一千億分の八』p136

ここからはさらにロマンの話。「何か」はまたしても人類を刺激します。名前は聞いたことはあるでしょう。ボイジャーの登場です。

始まりは一人の大学院生がある運命に気づいたことだそうです。ちょうどマリナー4号の発売の準備に慌ただしかった頃、ゲイリー・フランドルという大学院生が、1983年に木星・土星・天王星・海王星の4つの惑星が蠍座から射手座にかけての約50度の範囲に並び、1976年から78年の間に惑星探査機を打ち上げれば人類未到の4惑星全てを順に訪れることができるということに。

スイングバイという惑星の重力を使って宇宙船の進路や速度を変える技術が鍵であり、このチャンスはなんと175年に1度しかないというのです。なんという運命。月着陸や火星撮影しようかというこのタイミングに巡ってきた奇跡。

しかしハードルはあります。すでに宇宙開発はとんでもない予算規模になっており、そのリターンが明確に見えなくなっていました。予算削減に目が向けられます。なので表向きには土星までの探査しか承認が得られませんでした。ですが、技術者はちゃっかり余力を残し次の惑星まで行けるように仕掛けを仕込んでいたのです。実際にこれで人類は海王星まで探査が実現します。

宇宙開発のこれから

一人の実業家の笑顔が一つの惑星よりも重いのだろうか

『宇宙に命はあるのか 人類が旅した一千億分の八』p 200

かつて国家プロジェクトだった宇宙開発は、民間がかなりの話題を集めるようになってきました。なかでも注目なのはイーロン・マスクのspaceXです。イーロン・マスクと言えばテスラですが、彼の野望は火星移住に向かっています。

宇宙に人間が住むという空想、テラフォーミングもSFのネタの一つ。いつかは分からないけど、いつかは実現するだろうというのが地球外への移住です。イーロン・マスクの宇宙開発は莫大な予算と研究者が必要ななかで称賛に価される一方で、著者は不安があると述べています。

というのも、急ぎ過ぎではないかと。イーリアスで描かれたトロイアは、シュリーマンによって推測された場所にありましたが、大きな問題を起こしました。それは掘りすぎたこと。性急に掘ってしまい、遺跡を破壊してしまったのです。

それと同じように性急な移住計画は、もう一つの惑星候補を壊してしまうことになるのではないかという危惧です。もし月や火星から生命体が見つかったとしたら、その可能性の一つは人類が持ち込んだ生命体だといいます。月や火星にもともといた生命を駆逐してしまう可能性もあるわけです。何十億年という冬を耐え抜いた生命体があったとしたら、人類の夢が容易く踏み込んでいい物ではないのではないか。

ともあれ、宇宙移住は地球が住めないなんてことになったら人類は向かわなくてはならない方向性なのでしょう。いままで人類がアフリカから外に出て行ったのと同じように。

まとめ

なんで人は宇宙に不思議な感覚を持ち、宇宙に行きたいと感じるのでしょうか。この本では私達が孤独なのか?というところから仲間を求めるかのように描かれていたのかなと思います。
サピエンス全史』的には、人類の本能が生き延びることなので、生き延びるための手段として宇宙が選ばれているということもあるのかもしれません。昨今、急速に気候変動が取りざたされているなかで、宇宙開発も盛り上がっていくことになるんだと思います。2050年にはもう、月か火星に村ができているんでしょうね。私の年齢的にギリギリそんな世の中を見れそうな気がします。

本の目次

『宇宙に命はあるのか』の表紙
『宇宙に命はあるのか』の表紙
  • 新創世記
  • プロローグ
  • 第1章幼年期の終わり〜宇宙時代の夜明け
    • ロケットの父の挫折
    • フォン・ブラウン〜宇宙時代のファウスト
    • 運命は黒塗りのセダンに乗ってきた
    • ナチスの欲したロケット
    • ヒトラーの目に灯った火
    • 悲しきロケット
    • 宇宙を目指して海を渡る
    • 鎖に繋がれたアメリカン・ドリーム
    • セルゲイ・コロリョフ〜ソ連のファウスト博士
    • スプートニクは歌う
    • 六十日さえあれば
    • NASA の誕生、そして次へ
    • 最初のフロンティア
  • 第2章小さな一歩〜技術者のアポロ
    • 嘘だらけの数字
    • 無名の技術者の反抗
    • 究極のエゴ
    • プログラム・アラーム1202
    • アポロ誘導コンピューター
    • 新技術「ソフトウェア」
    • 宇宙飛行士は完璧か
    • the Eagle has landed
    • 「ジョン、ありがとう」
    • 鳥は翼で空を飛ぶ。人はイマジネーションで月に行く
    • 20XX年宇宙の旅
    • 異世界の空
  • 第3章1000億分の八〜太陽系探査全史
    • 偉大なる降格
    • NASA に飾られた一枚の「塗り絵」
    • 22枚のデジタル写真
    • 孤独の発見
    • ボイジャー〜惑星の並びに導かれた運命の旅人
    • パサデナの海賊
    • 新たなる希望
    • 土星の月冷たい雨
    • 技術者の官僚主義に対する小さな勝利
    • 不知為不知、是知也
    • 海王星は青かった
    • 命の賛歌
  • 第4章Are we alone?〜地球外生命探査最前線
    • 命とは何か?
    • 最終手段の仮説
    • いのちの証拠〜レゴの原理
    • 火星サンプルリターン
    • 火星ローバーの自動運転
    • 火星に生命はあるのか?
    • エウロパ生命探査
    • Journey to the Center of Icy moons?〜氷底探検
    • 我々はどこから来たのか?
    • 生物汚染のジレンマ
    • 火星植民に潜むリスク
    • Pale Blue Dot
  • 第5章ホモ・アストロルム〜我々はどこへ行くのか?
    • 系外惑星探査の夜明け
    • ペガサス座51番星b
    • 千億×千億の世界
    • 百光年彼方の森の息吹
    • 虚空に放たれたラブ・ソング
    • 沈黙
    • なぜ宇宙人からのメッセージは届かないのか
    • 1906年のクリスマスキャロル
    • 文明の寿命
    • コンタクト〜銀河インターネット
    • 情報化時代の恒星間飛行
    • サピエンスの記憶
  • エピローグ

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