『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』の書評とサクッと要約|競争ではなく独占せよ!

ゼロ・トゥ・ワンの要約 ビジネス

ピーター・ティールと言えば、ペイパルの創業者として有名ですが、つい先日の2020年9月30日には彼が設立した「パランティア・テクノロジーズ(Palantir Technologies)がニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場したというニュースが出ていました。

人生のなかで2つ会社を創業し、上場を果たしかつ莫大な企業価値を上げるなんてことはそうそうある話ではないはず。ピーター・ティールはどう考えたって破格に特別な存在ですね。複数の事業を立ち上げること自体は珍しいことではないですが、上場をするということはそれだけ多くの人を巻き込むことができる情熱が絶えないということなんでしょう。

彼はスーパーエンジニアではなく、実は哲学のPh.Dだそうです。そうした影響があるのか、彼の起業・事業活動は、はっきりと思想が表れているように思えます。総じて言えるのは反資本主義とも言える一貫したメッセージ。これがずっと持続し、事業だけではなく慈善活動であったり政治活動にも反映されているのだと思います。

株式公開とか、めちゃくちゃ資本主義じゃねーか!と総ツッコミを受けそうですが、それが『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』につながるところ。ピーター・ティールの事業における哲学は「競争しない」です。いつだったか、Newspicksの記事でも「競争は反対」「競争は愚策である」とピーターが発言していたという風に書かれていました。独占することができれば競争なんて起きないという発想です。

「断トツなものを生み出せば、そもそも競争は起きない」っていうのは、以前にまとめた『リーンスタートアップ』とはまるで違う話ですね。

天才が言うことですから説得力がある話で頷いてしまいがちだけど、我々凡人が実践するには全く向かないような気もしています。私はピーターが嫌っている無駄なく(リーン)に小さくスタートしていきたいかな。ピーター・ティールも小さい市場から始めろとは言っていますが…

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サマライズ(本の概要と要約)

ゼロ・トゥ・ワンの要約
ゼロ・トゥ・ワンの要約

著者の課題
人類には奇跡を起こすテクノロジーを生み出せる力がある。テクノロジーはゼロを1にすることができる。今は過去の成果をコピーしてばかりで、水平にしか進歩しない。ビジネスに二度と同じ瞬間はない。

解決方法
ゼロから1を生み出す企業をどう立ち上げるかを教えるためにスタンフォードで教えている内容を本にまとめてより多くの人に知ってもらおうと思った。スタンフォードやシリコンバレーだけに独占させていいわけがない。

内容
ドットコムバブルの教訓によって、スタートアップには次のような戒律が生まれた。「少しずつ進める」「無駄なくリーンに」「ライバルの改良をする」「プロダクト重視」といったものだ。しかし、この逆を張るほうが遥かに進歩する。

成功している企業は、競争ではなく独占している。Googleが検索市場で戦っているとすればYahoo!やBingと競争していることになる。しかしGoogleは独占していないと嘘をついているだけ。アルゴリズムで圧倒している。

独占すればいいので、先行者(ファースト・ムーバー・アドバンテージ)にならずともで、終盤で勝てばいい(ラスト・ムーバー・アドバンテージ)。チェスで勝つために終盤を学ぶように。

隠された真実を探すべきだ。「賛成する人がほとんどいない大切な真実は?」という問いに多くの人に答えられない。真実とは「重要だけど知られていない、難しいが実行可能な何か」。多くの人は探求心を失っているので発見しにくくなっている。

もし、真実を見つけることができたらどうするか。
ティールの法則と呼ばれており、実際にティールが投資する基準にもなっている。誰と始めるかが大事、フルタイムで働く、CEOの給与は15万ドル以下…。スタートアップのメンバーは同じパーカーをいるが、それぞれが別のミッションを担い責任を持つ。しかし目指すものは同じであり、これはマイルドなカルトだ。

ゼロ・トゥ・ワンとは

『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』は、ペイパルの創業者であるピーター・ティールが、スタンフォード大学で学生向けに講義した内容、新しい何かを創造する企業をどう立ち上げる方法を、より広い人たちに伝えたいためにまとめられた本。

ゼロ・トゥ・ワン(Zero to One)とは、ゼロから1にするということ。水平的な進歩ではなく、垂直的な進歩を指す。「賛成する人がほとんどいない大切な真実」を知り、それ満たすものを実現させること。ゼロ・トゥ・ワンに書かれている内容は講演も多く、記事も多くあるので参考情報を記載しておきます。

●PayPal創業者 ピーター・ティール(Peter Thiel)氏の講演
「競争するのは負け犬 ~いかに起業するか~Competition is for Losers with Peter Thiel (How to Start a Startup)」(英語)

『ゼロ・トゥ・ワン』対談 賛成する人がいない、大切な真実とはなにか。 ピーター・ティール Peter Thiel × 糸井重里 Shigesato Itoi – ほぼ日刊イトイ新聞

ちなみに日本語訳はビジネス書界隈では有名な関美和さん。
『父が娘に語る、美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい安い経済の話。』『FACTFLNESS』も訳されています。

著者 ピーター・ティールとは?

ピーター・ティールは、ペイパルの創業者。そのペイパルの出身者は「ペイパル・マフィア」と呼ばれていて、なかにはイーロン・マスク(テスラ、スペースX)やチャド・ハーリー(Youtube創設者の一人)、リード・ホフマン(LinkedIn)などがいます。ピーター・ティールは「ドン」と呼ばれているそうです。

ティール自身はペイパルをebayに売却した後、フェイスブックの最初期の投資家となり、シリコンバレーで最も影響力のある投資家であり、自身もあらたにパランティアを創業してまた上場させています。

本の解説と感想

競争ではなく独占

ピーター・ティールのビジネスの基本的な考えが「競争ではなく独占」です。彼のなかで競争は愚策なんです。

「競争する」という状態はゴールが同じということなので、みんな同じになるということです。ピーターはロースクールを卒業して法務次官になるという道があったが、それは何万人のなかの数十人という激しい競争であり、なったとしても「証言を録音したり他人の事業案件の草案を書いたりして過ごす」だけで、なにも新しいことを想像することがなかっただろうと感想を述べています。

競い合う人たちの間には違いがあまりないということです。ライバルを気にすると、本質を見失います。ピーターは以下のように言い切っています。

競争は価値の証ではなく、破壊的な力だとわかるだけでも、君はほとんどの人よりまともになれる。

『ゼロ・トゥ・ワン』p69

終盤を制せ!

ファーストムーバーアドバンテージという言葉があります。私たちは市場に初期に参入することで利用者を誰よりも早く囲い込むことが大事という風になんとなく考えています。私はこの考えって最もだと思うのですが、ピーターが言うように後からの参入者に容易に取って変わられるという脅威は考えなければなりません。終盤を制すためになにを考えるべきかというのが起業家が考えるべきことですね。

ピーター・ティールによれば、事業において大事なのは「将来のキャッシュフロー」だというのです。

短期成長をすべてに優先させれば、自問すべき最も重要な問いを見逃してしまう――「このビジネスは10年後も存続しているか」というものだ。数字はその答えを教えてくれない。むしろ、そのビジネスの定性的な特徴を客観的に考えてみる必要がある。

『ゼロトゥワン』p75

では将来のキャッシュフローを生み出せる独占企業にはどんな特徴があるのかと言うと、「プロプライエタリテクノロジー」「ネットワーク効果」「規模の経済」「ブランディング」の4つの特徴をいくつか併せ持っているそうです。

プロプライエタリテクノロジー
真似できない独占的な技術です。例えばGoogleの検索アルゴリズムはもはや誰も追いつけない領域でしょう。

ネットワーク効果
利用者数が増えれば増えるほどユーザーが便利になるものです。例えばFacebookです。知り合いの中で自分一人しか利用していなかったら二度と使いませんよね。それが複数人いれば次第にアクセス機会が増え、やがてその中に加わっていないことの方が不便になるかもしれません。(私は過去にLINEを使うようになった動機は、家族が使いだしたからでした…^^;)

規模の経済
規模の経済によって固定費の割合が減っていくというのは独占企業に見られる特徴です。競争の話で言うと、フィットネスクラブなどは規模を拡大しようと思うと施設やインストラクターを増やさなければなりません。しかしtwitterはせいぜいサーバーの増強などです。

ブランディング
アップルを思い浮かべてください。クールなブランドイメージはとてもユニークなものです。他が模倣しようとすればできはしますが、実体が伴っていないことにはできません。ブランディングに加え、ブランドを支えるプロプライエタリテクノロジーがあるからです。

で、これらがあればいいわけでファン―ストムーバーアドバンテージ(先手必勝)は手段であって目的は将来のキャッシュフローなので、最後に勝てばいいというのがピーター・ティールの主張。

君が最初の参入者になっても、ライバルがやってきてその座を奪われたら意味がない。最後の参入者になるほうがはるかにいい

『ゼロ・トゥ・ワン』p87

隠された真実

本書の中では、「賛成する人がほとんどいない、大切な真実は何か」という問いが繰り返し出てきます。それくらい重要な問いと言うことですね。その問いの答えを抽象的に表現すると、「重要だけど知られていない、難しいが実行可能な何か」です。それは定説(簡単)と解けない謎(不可能)の中間にあるものです。

今では当たり前なアイデアはどれもかつては誰も考えてもみないことだった。

『ゼロ・トゥ・ワンp129

この考えてみないことは、普通に過ごしていたら見つけることはできません。しかも現代においては隠された真実を発見することがとても難しくなっています。それはなぜかというと、まず人類にとって未開の地がなくなってきているという物理的なフロンティア不足が挙げられます。これに加え、社会的なトレンドで、①漸進主義(例えば教育はみんな同じ年齢で同じことを学ぶプロセスを辿る)、②リスク回避(主流派でないと寂しい、辛いという心理)、③現状への満足(別に隠れた真実を探さなくてもいいと思っている)、④フラット化(だれかがすでにやっているという思い込み)

隠された真実を見つけたらどうする?

本書の中で「ティールの法則」というものが説明されています。ピーター・ティールも自分で「ティールの法則」というのは気恥ずかしさがあったのではないでしょうか(^^; ティールが信じる法則をまとめました。

①誰とはじめるか
ずっと同じビジョンを掲げ邁進するには、「一緒にうまくやっていけるか」がとても重要。これは結婚生活を始めるのと同じ。

②チームが一丸となる
スタートアップは経営者だけではないので、関係者全員がうまく働いていく必要があります。なので、チーム全員を長期的にうまく機能させるためには、「所有者(株主)」「経営者(実務責任者)」「統治者(取締役)」という役割をわけたほうがいい。

③スタートアップに関わる全ての人はフルタイム
スタートアップは四六時中、一緒に働くべき。しかも毎日同じ場所で!

④CEOの報酬は少なく
年収は15万ドル以下。CEOの給料が少なければそれが社員の基準になり、現金報酬が少ない経営者は企業全体の価値を上げようと動く。

⑤現金より株式を欲しがる社員を雇う
自社株を報酬にし、それに合意する人は長期的な志向があり未来にコミットしている。

これらのベースには「未来」があって、それを実現するためには企業のビジョンに共感していることが重要だなと思います。本書のなかではスタートアップは「マイルドなカルト」と書いてありましたがその通りなのでしょう。

まとめ

ピーター・ティールが伝えたかったメインイシュー「ゼロから1を生み出す企業をどう立ち上げるか」という点については、大きくは2つのステップがあり、ベースに独占があるということですね。隠された真実を見つけるのはとても難しいですが、小さな組織を拡大させるための考え方としてティールの法則はから学べることは多くあるのではないかなと思います。

①隠された真実を見つける
これは競争の延長線上では見つけられないもので、今まで価値があることに気が付かなかったことに気づくということ。起業におけるいくつかのメソッドで、「競争」を意識しないことを考えるのであれば、格段に確度が高くなる気がします。

②隠された真実を形にする
これだというものを見つけったら、将来キャッシュフローを生み出す構図を描くことが重要。さらに実現に向けては誰を同じバスに乗せるのか、マイルドなカルト創り出す。

③競争ではなく独占
「ライバルはいない」と言えるようにする。

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